研究課題/領域番号 |
20K03532
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中岡 宏行 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (90568677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 完全圏 / 三角圏 / アーベル圏 |
研究実績の概要 |
本研究課題では目的として、ホモロジー代数のための主要な圏論的舞台であるアーベル圏・完全圏および三角圏を含む圏のクラスであるextriangulated categoryに関する理論的枠組みの発展を挙げている。 今年度は、改訂後査読中であった論文"Auslander-Reiten theory in extriangulated categories"がTransactions of the American Mathematical Society, Series Bから出版された。この論文では、extriangulated categoryにおけるAuslander-Reiten理論について考察を行った。 高次extensionについて論じたプレプリント"Positive and negative extensions in extriangulated categories"(執筆は前年度以前)は今年度に論文誌への投稿を行い、現在査読中となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Auslander-Reiten理論は多元環の表現論では重要な役割を果たすものであり、圏論的枠組みとしてはアーベル圏・完全圏・三角圏といったホモロジー代数学で主要な圏においてこれまで主に考察されてきた。これを共通一般化であるextriangulated categoryで統一的に扱った論文が総合誌であるTransactions of the American Mathematical Society, Series Bから出版されたことについては一定の意義があり、研究計画全体の中でも一つの達成点として挙げられる内容となったと考えている。昨年度は局所化についてある程度の結果を得られたことも考え合わせると、概ね順調に進展しているといえる。一方で、研究計画に挙げた事柄のうち、三角圏への埋め込みについては条件の調査を続けているところであり、これに関してはさらに研究を推進する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗からは、extriangulated categoryの埋め込みの考察では局所化が重要な役割を担うと考えられる。これまでに得た局所化の一般論を活用して、この課題の推進を行いたい。 また、extriangulated categoryについて近年他の研究者たちにより得られている完全∞-圏や完全dg圏による増強とも関連すると考えられるため、こうした高次圏論的な視点からの考察も有効に働くと期待できる。特に、これら高次増強に共通して存在する2-圏論的な構造について詳細に検討し、既存の研究結果との関連を詳しく見ることで、今後の研究の推進に繋げられると考えている。またextriangulated categoryに関わる別の最近の結果として、extensionのなす2-圏を用いた一連の研究も現れており、2-圏論的な観点から当研究課題との関連をみることも、今後の推進の方策となり得ると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業期間中に新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により当初予定していた研究集会・研究打ち合わせのための出張などが中止・延期あるいはオンラインとなったことが、次年度使用額の生じた主な原因です。これら次年度への繰り越し分については、延期となった集会等が実施された場合の出張費、オンラインでの研究発表・研究打合せのために必要となる諸費用などに使用予定です。
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