研究課題
最終年度の研究実績は以下のとおりである:1. (一般次数の)非特異del Pezzo曲面に含まれる空間曲線に対し、ヒルベルト旗スキームが対応する点において非特異かつ期待次元を持つことを証明した。応用として(一部の曲線に対し)ヒルベルトスキームの対応する点での次元と非特異性を決定した。2. 4次del Pezzo曲面上の空間曲線に対してはより詳細な調査分析を行った。とくに余次元3の空間曲線のヒルベルトスキームにおいて、生成点において被約でないような既約成分の例が得られた。3次元射影空間内の曲線(空間曲線)は19世紀末から研究されている代数幾何学における古典的研究対象の一つである。中でも非特異3次曲面に含まれる曲線は、同曲面の持つ美しい性質(射影平面の6点爆発と同型)により詳しく研究されてきた。未解決予想の一つとしてKleppe-Ellia予想がある。本予想は空間曲線のヒルベルトスキームの非被約成分に関する予想として提起されたが、本質的に同スキームの次元に関する予想と捉えることが可能である。解決のためには接空間の次元が大きい場合にスキームとしての次元を決定するという技術的困難が生じる。この困難を克服するために期待されるのが変形障害の理論の発展であり、本研究課題の目指す目標である。研究期間全体を総括する。3本の論文が受理され出版された。1つ目はエンリケス・ファノ三様体(EF3)上の曲線の変形障害に関する研究で、EF3上のヒルベルトスキームが生成的に被約でない既約成分をもつための十分条件を与えた。2つ目は3次元多様体上の曲線の変形障害に関する研究で、報告者の以前の結果の誤りを修正し、向井・那須の判定法の新たな一般化を得た。3つ目は空間曲線のヒルベルトスキームの研究である。上記のKleppe-Ellia予想を部分的に解決した。コロナの影響が比較的少なかった2022年度に上記研究成果に関する6件の口頭発表を行った。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
第 20 回代数曲線論シンポジウム (米田二良先生,大渕朗先生退職記念) 報告集
巻: 20 ページ: 24--36
manuscripta mathematica
巻: - ページ: -
10.1007/s00229-022-01404-z
https://fuji.ss.u-tokai.ac.jp/nasu/