モジュラー形式の理論は、フェルマーの最終定理の証明にも使われたように整数論の様々な分野に応用される。最近では、この理論に深い関係がある楕円曲線の理論が「暗号理論」にも応用されている。楕円曲線は一変数モジュラー形式(楕円モジュラー形式)と関連があるが、当該研究は、このモジュラー形式の概念をおもに「多変数化」したジーゲル モジュラー形式の場合に、そのフーリエ係数が持つ整数論的性質、具体的には、素数$p$にかんする「mod p理論」や「p進理論」を探求した。多変数の場合の他分野への応用は、これからの課題であるが、我々が見出した様々な興味深い(整数論的)現象は、これから応用が期待される。
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