研究課題/領域番号 |
20K03550
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
松田 一徳 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20633241)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エッジイデアル / Cameron-Walkerグラフ / Stanley-Reisner環 / Castelnuovo-Mumford正則度 / h多項式の次数 / Cohen-Macaulay type / 次元 / 深度 |
研究実績の概要 |
令和2年度における研究実績は以下の通りである。 (1) マッチング数と誘導マッチング数が等しいグラフのうち、スターグラフ(いくつかのP_2を一点でくっつけたもの)でもスタートライアングル(いくつかのC_3を一点でくっつけたもの)でもないグラフをCameron-Walkerグラフという。日比孝之氏、菅野裕樹氏(大阪大学)、木村杏子氏(静岡大学)、Adam Van Tuyl氏(McMaster大学)との共同研究において、Cameron-Walkerグラフのエッジイデアルによる剰余環に対し、5つの不変量(グラフの頂点数・次元・深度・Castelnuovo-Mumford正則度・h多項式の次数)の相互関係を完全に決定し、その他の成果も含めて論文"Homological invariants of Cameron-Walker graphs" にまとめた。論文は Transactions of American Mathematical Society に採録が決定している。 (2) Stanley-Reisnerイデアルは単体的複体から定まる無平方単項式イデアルであり、エッジイデアルの一般化とみなせるものである。Stanley-Reisner イデアルによる剰余環をStanley-Reisner環という。東谷章弘氏(大阪大学)と菅野裕樹氏との共同研究において、Cohen-Macaulay Stanley Reisner環の次元・Cohen-Macaulay type・Castelnuovo-Mumford正則度の間に成り立つ不等式を見出し、その他の成果も含めて論文"Inequalities of invariants on Stanley-Reisner rings of Cohen-Macaulay simplicial complexes" にまとめた。論文は現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エッジイデアルの環論的不変量の相互関係を調べることは、本研究課題の研究目的の一つであったが、Cameron-Walkerグラフの場合に決定的ともいえる結果を出すことができた。 また、東谷章弘氏と菅野裕樹氏との共同研究において、新たにStanley-Reisner環の研究をスタートさせることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、エッジイデアルの環論的不変量の相互関係を調べていく。環論的不変量のみならず、グラフ理論的不変量との相互関係についても、例を作りながら研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、講演および研究打ち合わせは全てオンラインで実施した。その為、令和2年度は頂いた研究費を使用しなかった。今後も見通しは不透明であるが、中止とせざるを得なかったいくつかの出張を令和3年度以降に実施した際の旅費として使用する。
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