研究課題/領域番号 |
20K03552
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
増岡 彰 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50229366)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ホップ・ガロア拡大 / スーパー・トーサー / スーパー主束 / スーパー・ピカール-ヴェシオ理論 |
研究実績の概要 |
ベクトル空間全体は,通常のテンソル積と自明な対称性により対称テンソル圏を成す。これを一般化して、位数2の有限群による次数付けをもつベクトル空間は、いわゆるスーパー対称性により対称テンソル圏を成す。この圏において定義されるアフィン群、ホップ代数は、それぞれスーパー・アフィン群、スーパー・ホップ代数と呼ばれるが、前者が可換なスーパー・ホップ代数と圏論的に対応することは、通常の状況におけるのと同様である。Deligne (2002)によれば、標数零の代数閉体上においては、対称テンソル圏とスーパー・アフィン群の表現圏はほぼ同義語であるから、スーパー・アフィン群は十分な一般性をもった研究対象である。 本研究課題は、(アフィンと限らない、また解析的なものも含めた)スーパー群について、対応する可換なスーパー・ホップ代数に対するガロア拡大(それは代数幾何学におけるトーサー、微分幾何学における主束の代数的対応物)を通して研究しようというものである。当該年度においては次の3つの研究成果を得た。 (1) 標数が2と異なる体上、滑らかなアフィン・スーパー代数群 G と滑らかなネーター的アフィン・スーパー・スキーム Y に対し、Y 上の G-スーパー・トーサーは、付随する通常のトーサーの持ち上げとして一意的に表される。 (2) G を(1)の通りとする。この G が、滑らかな局所ネーター的スーパー・スキームに自由に作用しているとすると、自然な仮定のもと、商層 X/G は滑らかな局所ネーター的スーパー・スキームになる。 (3) (1) の微分幾何学的類似が成り立つ。すなわち、実数体上、可微分スーパー主束は、付随する通常の主束の持ち上げとして一意的に表される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響と、所属機関における業務の多忙さのため、研究の詰めと成果の公表が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで得た研究成果によって、本研究の1つの目標であった、微分方程式のガロア理論、すなわちピカール-ヴェシオ理論をスーパー対称性のコンテストへと一般化する準備が整った。 新型コロナウイルス感染症拡大の終息を期待して、出張により、またオンラインによる新しい研究形態も利用して、この一般化を実行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響と、所属機関における業務の多忙さのため、出張がままならなかった。
|