研究実績の概要 |
1より大の互いに素な自然数A,B,Cに対して、方程式A^x+B^y=C^zの自然数解(x,y,z)の個数の一般的な最良評価の研究に従事した。いくつかの具体的な(A,B,C)の例を除けば、解の個数は高々一つであると予想されている。本年度は、前年度に引き続き、Istvan Pink氏(Debrecen大学)との共同研究を行った。前年度では、方程式に解が少なくとも二つ存在する条件の下で、Cの値がAまたはBに比べて比較的に小さい場合に、多くの有限的な条件を導く事が出来ていた。本年度は、それらを利用し、Cが3・2^r+1(rは自然数)の形をした素数である場合に、有限個のA,Bの組を除けば、予想が成立することを証明した。ここで、その証明法はどのCに対しても実効的では無かったが、C=13の場合にだけ、その平方根について成り立つ特別な有理近似不等式を用いて、結果を実効的に出来た。さらに、その場合に、例外的な有限個のA,Bの組をすべて篩い、予想を証明する事が出来た。また、先述した有限的な条件を用いて、特別なピライ型方程式の解の個数の評価を得ることが出来た。より詳しくは、与えられた互いに素な自然数A>1,B>1と自然数Cに対して、方程式A^x-B^y=Cを考え、Aの値を任意に固定する場合、高々有限個のB,Cの組を除いて、この方程式の解の個数は1以下である、を証明する事が出来た。これは2001年にM. A. Bennett氏が提起した予想に広く貢献するものである。 研究期間全体を通じては、方程式A^x+B^y=C^zの解の一般的かつ最良の評価の確立に努めた。初年度には、{A,B}={3,5}, c=2の場合を除いて、方程式は一般に高々二つの解しか持たないことを示し、一般的な最良評価を証明する事が出来た。残りの年度では、解が丁度一つ持つ場合を決定する問題を考え、特にCを固定する場合を考察した。
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