研究課題/領域番号 |
20K03564
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
中島 俊樹 上智大学, 理工学部, 教授 (60243193)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 結晶基底 / 幾何結晶 / クラスター代数 / 一般化された小行列式 / 圏化 / クイバーヘッケ代数 / 局所化量子群 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である幾何結晶、クラスター代数の理論の結晶基底からのアプローチについて、まず、C型結晶基底の単項式表示による積の分解公式の記述について一定の成果を得たので論文を執筆中である。この研究の概要については、まず、単項式の積が再び決結晶の構造を保ち、それらが結晶として分解することを示し、分解公式を明示的に与えた。また、幾何結晶におけるBerenstein-Kazhdan ポテンシャルに関係する一般化された小行列式の結晶基底の単項式表示による記述について、共同研究者らと新しいアルゴリズムを発見し、最初の論文が出版されたが、また、より一般化された結果についても新しい論文が出版掲載された。この新しいアルゴリズムも過去に行った研究成果を進展させたもので、既存の結晶基底における柏原作用素の新しい記述とも考えられる。またLeclercHernandez quiver によるq-characterのcluster 変数としての実現に触発されて、Maximal gereen sequence を適用したcluster 変数 による一般化されたminorの実現のためにロシア、日本での国際共同研究に取り組んでいる。大きく進展したものとして有限型の quiver Hecke 代数の有限次元加群の圏の局所化による圏化の理論を応用して定義された局所化された量子群の結晶基底についての結果がある。この研究では、まずquiver Hecke 代数の有限次元加群の局所化による圏のself-dual 単純対象の全体に結晶構造を定義し、さらにその結晶とcellular 結晶との間に具体的な同型を与えた。論文は現在、投稿し審査中である。アファイン型の幾何結晶については、アメリカとタイの研究者との国際共同研究を開始した。古典型r-行列の像幾何結晶を記述しているのではないかということについて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
おおよそ3つほどの研究が同時進行中であり、そのうち1つについて、ある程度の成果を得ており、別の1つについては、論文にできるだけの成果が得られた。また、最後の1つについては、当初、予定していた結果を得て、論文として投稿後にさらにこちらの予想を超える成果も得られつつあるので、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
3つの研究とも論文として投稿できる程度の成果は得られたので、さらに発展させるとともに、具体的な計算などを実行して応用についても考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、使用が滞っていたため幾らか当初計画より助成金が余ってしまったためである。今年度は、7月に開催予定の国際研究会「Crystal bases and Then」の組織に協力することで助成金を使う計画となっている。
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