研究課題/領域番号 |
20K03567
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
寺杣 友秀 法政大学, 理工学部, 教授 (50192654)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | モチーフ / 超幾何関数 / 多重ゼータ値 / 楕円曲線 / モジュライ |
研究実績の概要 |
多重ゼータ値における深さフィルトレーションと、モジュライ空間上の混合楕円モチーフの退化の関係について引き続き研究をおこなった。新潟代数シンポジウム(2023年12月6日から8日)において「Depth filtration of MZV and degeneration of elliptic curves」という題目でこれまでに分かっていることについての講演を行った。このシンポジウムで問題としていた、混合楕円モチーフのホップ代数の骨組み部分が有理Kπ1性を持つかどうか、という研究を開始した。骨組み部分の定義については昨年度にわかった非常に性質のよいフィルトレーションが用いられる。有理Kπ1性については、これまで超平面配置に関連する多様体を除いてはあまり研究されていなかった。リーマン面の基本群の構造はここで問題にしている場合と似ており、より簡単であるので、手始めとしてその場合の有理Kπ1性を考察した。実際にこの場合についてはホモトピー作用素を構成することができ、有理Kπ1性を証明することに成功した。 また松本氏、小原氏、金子氏とともにアッペルの超幾何関数という非常に特徴的な超幾何関数の多変数への一般化を系統的に研究した。研究で取り扱うものは、特異集合の記述、解空間の次元に見合うだけの超幾何関数の構成、特異集合の補集合の基本群の性質、モノドロミーの性質、ツイストコホモロジーの構成と消滅サイクルの構成およびその記述である。すでに大まかの部分はできているが、細部のチェックをしており現在も進行中である。 超幾何パラメータにおける特異集合の記述については特性多様体を定義するイデアルのシジジーを解明することが重要課題となるが、ここでは多変数差分商が有効に使われ、被約なイデアルについての完備化を用いることによりきれいな記述ができることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究については感染症の影響で研究連絡が滞っていたが、その後の進度としては、おおむね順調に進展しており、現在その結果をまとめている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
超幾何関数に関する研究においては、パフ形式を記述するための道具を整備することが課題である。すでにシジジーの様子の根本的な部分が確定しており、方針としてはこれをどのように表現するかにかかっている。ラグランジュの補完公式が種々の公式の証明の核心部分となるが、上に書いた完備化における逆元の公式が補完公式から得られる。ツイストコホモロジーと消滅サイクルの構成については、モース指数がちょうど中間次元となる実サイクルを作ることが証明のカギとなる。消滅サイクルは超幾何関数の積分表示に現れる多様体の帰納法的構造を用いることで構成できる。 楕円モチーフの骨組み部分についての有理Kπ1性の研究においては、有理基本群の関係式が問題となる。ここに現れるモジュラー多項式の係数が問題をより複雑化しているのだが、この係数を解明することは避けられず、これが今後の目標となる。別の問題として、開楕円曲線のホップ代数からくる混合楕円モチーフがテータシンボルのみで高次拡大が記述できるかどうかというものがあり、これがわかれば種々の問題は単純化される。これについては、いくつかわかっていることがあるのでそれををまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由…共同研究者と共同で得られた成果を論文としてまとめるための詳細な打ち合わせが十分にできず、打ち合わせのための余剰が生じた。 予算の使用計画…これまで共同研究者と得てきた結果を一つの論文として整合性のとれたものとしてまとめるために対面で打ち合わせることが必要で、そのための旅費として使用予定である。
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