研究課題/領域番号 |
20K03570
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
増田 佳代 関西学院大学, 理学部, 教授 (40280416)
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研究分担者 |
宮西 正宜 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (80025311)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ユニポテント群の代数的作用 / アファインファイブレーション / 局所べき零微分 / 消去問題 / Abhyankar-Sathaye問題 |
研究実績の概要 |
1. アファイン代数多様体はその座標環が素元分解整域のとき factorial とよばれる.3次元以上のfactorial なアファイン代数多様体 X上の加法群の作用から得られるA^1-ファイブレーションについて,その加法群の作用から定義される plinth イデアルと呼ばれるイデアルが主イデアルである場合に、その特異ファイバーについて同変 affine modification という手法を用いて詳しい解析をおこなった.Xが3次元アファイン空間の場合,plinthイデアルは主イデアルであることが知られている.得られた結果は「Factorial affine G_a-varieties with height one plinth ideals」と題して専門誌 Transformation Groups に発表した.
2. 3次元アファイン代数多様体 X 上に加法群が作用しており,その加法群の作用から得られるA^1-ファイブレーションがアファイン平面を底空間としてもつ場合に,そのファイブレーション構造を解析した.特にXが3次元アファイン空間の場合,A^1-ファイブレーションの底空間はアファイン平面であることが知られている.その上のファイバーが特異ファイバーであるような底空間の点のなす集合について詳しく調べ,得られた結果の一部を「Singular loci of A^1-fibrations induced by G_a-actions on affine 3-space」と題して,新潟大学理学部において2024年3月に開催された第22回アフィン代数幾何学研究集会で講演した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3次元のfactorial なアファイン代数多様体上の加法群の作用については、そのファイブレーション構造の分類にまでは至らず,残念ながら3次元の消去問題やAbhyankar-Sathaye問題の解決には遠い状況である.3次元アファイン代数多様体の完備化についての結果はあるが,それらの結果から開代数多様体についての結果を引き出すことができていない.高次元双有理幾何学における結果を高次元アファイン代数幾何学に持ち込む手法が確立されていないことが大きな原因と思われる.これらの課題について解決することが必要である.
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今後の研究の推進方策 |
1.加法群の作用から得られる3次元アファイン代数多様体上のA^1-ファイブレーションについて、その特異ファイバーの入り方を明らかにする.そのために、代数的手法を用いた研究を進めることはもちろん,双有理幾何学における結果を取り込めるよう理論の整備をおこなう.
2.1で述べた研究を遂行するため,国内外の研究集会,シンポジウムに参加し,情報収集をおこなうとともに,関連する分野の研究者との討論を通して研究を進める.
3. 得られた結果はしかるべき研究集会などで発表し,アファイン代数幾何学分野の研究の活性化をはかる.
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次年度使用額が生じた理由 |
過去のコロナウイルス蔓延時に海外での国際研究集会がキャンセルになり、剰余金が生じた。現在、海外での研究集会も再開しているが、アファイン代数幾何学分野での研究集会はいまのところ国内開催が主であり旅費は海外ほど高額ではないため、剰余金が減らず次年度への繰越金となっている。翌年度分として請求した助成金は繰越金と合わせて、国内外の研究集会へ参加するための旅費、また関連する分野の研究者とセミナーを開催するための費用として使用する予定である。
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