研究実績の概要 |
2022年度は,2021年度からの研究を引き続き行った.まず,3次元球面から3次元空間への折り目写像で,特異点集合が2次元球面2つからなる写像fと,2次元球面1つからなる写像gとの間のジェネリックホモトピーの構成に取り組んだ.折り目写像fから出発し,2次元球面が特異点集合,赤道がカスプ,赤道上に4点スワロウテイルを持つ安定写像hまで変形するところまでは2021年度の段階でできたいた.2022年度はhとgの間のジェネリックホモトピーの構成に改めて挑戦した.特異値集合を見ての変形だけではなく,特異点集合も見て変形したり,hから出発することにこだわらずに,fやgから出発しなおしてみたりした.しかしながら,ジェネリックホモトピーの構成には至らなかった.解決できなかったものの,これまでの状況を経過報告として,2つの研究集会において講演した.また,2020年度に得られた研究成果,「特異点集合が2つの2次元球面であるようなレンズ空間L(p,p-3)から3次元空間への折り目写像の族(ただし,pとp-3は互いに素)の構成」において,基本要素となる3種類の折り目写像を,より規則性が見やすい折り目写像に整形した.これにより,一般のレンズ空間からの折り目写像の構成へ足掛かりが作れたと期待される.レンズ空間L(p,p-3)からの折り目写像の具体的構成については,研究集会で発表した. 3次元多様体から平面への安定写像が3次元空間への折り目写像にリフトする研究にも引き続き取り組んだ.2022年度は,平面への安定写像から得られるシュタイン分解をリフトさせるという方針で研究を行った.シュタイン分解のリフトから復元される3次元多様体は,元の3次元多様体と同相になるとは限らないことがわかった.そこでシュタイン分解のリフトから得られる3次元多様体の同相類について,研究期間終了後も引き続き考察する.
|