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2022 年度 実施状況報告書

凸幾何の観点からのシンプレクティック不変量の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03576
研究機関茨城大学

研究代表者

入江 博  茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (30385489)

研究分担者 柴田 将敬  名城大学, 理工学部, 准教授 (90359688)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード幾何学 / 凸体 / 極凸体 / Mahler体積 / 直交群の離散部分群
研究実績の概要

1.ユークリッド空間の中心対称な凸体とその極凸体の体積の積をMahler体積という。n次元凸体に対して、Mahler体積の最小値は(4のn乗)/n!であると予想されている。これはMahler予想(1939年)と呼ばれ、凸幾何学の分野での古典的な未解決問題の一つである。2次元の場合には、Mahler自身により1938年に解決されているが、3次元以上では部分的結果は知られているものの、未解決であった。研究分担者である柴田将敬氏(名城大学)と共同で、この予想を3次元の場合に完全解決した論文は令和2年度に出版されたが、これは、本研究計画の立案の出発点でもある。この「3次元対称凸体のMahler予想の解決」の業績が評価され、2022年度日本数学会幾何学賞を柴田氏と共同で受賞した。
2.令和2年度に、3次直交群のいくつかの系列の離散部分群の対称性をもつ3次元凸体のMahler体積の下からの最良評価と等号成立条件に関してプレプリントを完成させていたが、この論文がDiscrete and Computational Geometry誌から出版された。
3.上記2の研究で残った系列での、3つの対称性の場合のMahler体積の下からの評価の研究に着手した。先行研究よりも少ない対称性で議論するため困難が大きくなるが、符号付体積評価に加えて、equipartitionの方法を使うことで最良評価が得られる見込みである。
以上は、研究分担者である柴田氏との共同研究である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度も昨年度同様に新型コロナウイルス感染症の影響があったが、国内出張はしやすくなったため、研究分担者の柴田将敬氏(名城大学)とお互いの研究機関を訪問しての直接の議論を数回実施した。不足する部分はオンライン会議システムZoomを用いて議論を行った。凸幾何の分野は国内の研究者が少ないため、最新の研究情報収集のためには海外の研究集会に参加するしかない。しかし、この3年間新型コロナの影響で海外出張が全くできず、課題の進捗がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

令和5年度は、新型コロナウイルス感染症に関する規制が小さくなることが予想される。そのため、研究分担者の柴田氏とできるだけ対面での議論の機会を増やしたい。今後の研究方針としては、引き続きMahler予想関連の検討を進める。特に、研究実績の概要の項目3で述べた3つの場合の下からの最良評価、等号成立条件、安定性の検討を行う。
また、新型コロナの状況を見ながら、研究情報収集のための国内出張や、特に、3年間滞っている海外出張の機会を増やしたい。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度も前年度までと同様に、新型コロナウイルス感染症の影響のため、研究分担者の柴田氏と月に2回予定していた、お互いの研究機関を訪問しての直接の議論を中断することを余儀なくされ、年度内に数回のみの実施となった。
研究計画では、最新の研究情報収集のための海外出張旅費の比重が大きいが、令和4年度も旅費の執行ができず、次年度使用額が累積している。令和5年度は、新型コロナ関連の規制も少なくなる見込みであるので、研究成果の発表や海外出張による研究集会への参加を積極的に行う。
しかし、繰越額が大きいため、少なくとも1年間は研究期間の延長を申請する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Minimal volume product of three dimensional convex bodies with various discrete symmetries2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Iriyeh, Masataka Shibata
    • 雑誌名

      Discrete and Computational Geometry

      巻: 68 ページ: 738-773

    • DOI

      10.1007/s00454-021-00357-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 凸体のMahler予想について2023

    • 著者名/発表者名
      入江 博
    • 学会等名
      第18回代数・解析・幾何学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] On volume product of symmetric convex bodies2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Iriyeh
    • 学会等名
      Energies of Knots, Residues of Manifolds and Related Topics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 3次元対称凸体のMahler予想の解決2022

    • 著者名/発表者名
      入江 博、柴田将敬
    • 学会等名
      2022年度日本数学会秋季総合分科会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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