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2022 年度 実施状況報告書

Coxeter群、Artin群、Coxeterカンドルのコホモロジー

研究課題

研究課題/領域番号 20K03600
研究機関北海道大学

研究代表者

秋田 利之  北海道大学, 理学研究院, 教授 (30279252)

研究分担者 吉永 正彦  大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (90467647) [辞退]
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードクロス加群 / 中心拡大 / ブレイド群 / カンドル / ホモロジー
研究実績の概要

(1) Huebschmann(2012)はブレイド群の「普遍中心拡大」がブレイド群上の一つの元で生成される自由クロス加群であることを示していた。Huebschmannの結果を受けて、代表者は代表者の修士学生であった川崎理佳子氏(現在は東京理科大学博士課程在籍)との共同研究においてブレイド群の「普遍中心拡大(Schur被覆)」の有限表示を求めていた(2022)。今年度はその結果を佐藤隆夫氏(東京理科大学)の結果と合わせて秋田・川崎・佐藤の3名を著者とする共著論文にまとめ査読付き学術雑誌に投稿した。
(2) 与えられたカンドルが群(正確には群の共役カンドル)に埋め込めるかどうかはカンドルの理論における基本的な問題の一つである。代表者は任意のねじれ共役カンドル(twisted conjugation quandle)が群に埋め込めることを証明した。特にその系としてAlexanderカンドルは群に埋め込めることが従う。この結果は既に論文にまとめ学術雑誌Journal of Knot Theory and Its Ramificationsにおいて出版済みである。
(3) n次対称群の互換全体の集合は共役によりカンドルとなり互換カンドルと呼ばれ、その2次のカンドルホモロジー群はEisermann (2014)により決定されている。Coxeterカンドルは互換カンドルの自然な一般化であり、研究代表者は長谷川蒼氏(研究代表者の博士学生)との共同研究で既約な有限Coxeterカンドルの2次のカンドルホモロジー群を研究中である。2023年中に2次のホモロジー群を決定できる見込みである。
(4) カンドルの随伴群の構造に関する論文(丹野信義氏、長谷川蒼氏との共著論文)が学術雑誌Kodai Mathematical Journalに掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は(1)K(π,1)予想、(2)ホモロジー安定性、(3)Coxeter群、Artin群、Coxeterカンドルの随伴群の(コ)ホモロジーの関係、(4)Coxeterカンドルのコホモロジー、(5)放物的部分群構造を持つ群への一般化の5つのテーマからなる。
概要欄(1)で述べたブレイド群の普遍中心拡大に関する研究は(i)ブレイド群はArtin群のもっとも重要な例であること(ii)クロス加群から(添加)カンドルが得られるという意味でクロス加群はカンドルの特別なものであると考えられることから本研究の研究テーマと深く関わっている。
また概要欄(3)で述べたCoxeterカンドルのホモロジーの研究は、研究テーマ(4)そのものであり、研究テーマ(3)と(4)の進展に大きく寄与するものである。これらの研究結果から本研究はおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

(1)2022年度の研究の中で、カンドルの随伴群がWirtinger(表示を持つ)群(C-groupまたはLOG groupとも呼ばれる)というより広い群のクラスに属していることに気づいた。今年度はWirtinger群の立場からカンドルの随伴群を研究したい。与えられた群が既約なWirtinger群であるための必要十分条件は知られているが、この必要十分条件をカンドルの理論を用いて精密化できると研究代表者は予想している。この予想の証明を今後の課題の一つとする。
(2)概要で触れたHuebschmann(2012)の結果についてHuebschmann自身は「ブレイド群に特有なもので一般化できないだろう」と述べているが、代表者は何らかの形で既約なWirtinger群に一般化できると予想している。この予想の定式化と証明も今後の課題である。
(3)近年発展しているを離散ホモトピー論を本研究に応用できないか検討中である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響で参加を予定していた研究集会が中止になった。また対面を予定していた研究連絡が相手側の意向によりオンラインとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Embedding Alexander quandles into groups2023

    • 著者名/発表者名
      Akita Toshiyuki
    • 雑誌名

      Journal of Knot Theory and Its Ramifications

      巻: 32 ページ: 2350011

    • DOI

      10.1142/S0218216523500116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure of the associated groups of quandles2022

    • 著者名/発表者名
      Akita Toshiyuki、Hasegawa Aoi、Tanno Masayoshi
    • 雑誌名

      Kodai Mathematical Journal

      巻: 45 ページ: 270-281

    • DOI

      10.2996/kmj45205

    • 査読あり
  • [学会発表] カンドルのassociated groupについて2022

    • 著者名/発表者名
      秋田利之, 長谷川蒼
    • 学会等名
      日本数学会秋季総合分科会

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公開日: 2023-12-25  

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