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2022 年度 実施状況報告書

離散群のポアソン境界と幾何解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K03602
研究機関京都大学

研究代表者

田中 亮吉  京都大学, 理学研究科, 准教授 (80629759)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードグロモフ双曲群 / 位相流 / 調和関数 / ランダムウォーク / ハウスドルフ次元
研究実績の概要

離散群のポアソン境界と幾何解析の研究は、有限生成無限群の有界調和関数全体のなす空間に対する境界理論をテーマにしている。本年度は、主にグロモフ双曲群の位相流の研究を推し進めた。位相流は負曲率リーマン多様体の測地流に対応する力学系であり、境界に定義される測度族を系統的に比較する枠組みを提供する。我々が得た成果は一般の非初等的なグロモフ双曲群に付随する位相流は位相推移的な有限型サブシフトによりコード化できるというものである。この有限型サブシフトは群のオートマチック構造によって構成され、原理的には具体例が計算可能である。この結果は論文にまとめプレプリントとして公開し、ジャーナルに投稿中である。現在は具体例の計算を蓄積し、グロモフ双曲群以外で対応する結果の限界を見極める研究を進めている。別の方向の研究としてグロモフ双曲群2つの積の上のランダムウォークとそのポアソン境界について研究を行っている。グロモフ双曲群上のランダムウォークの研究は近年進展し、理解が飛躍的に進んでいるが、ランダムウォークが独立なものの積ではない場合、わかっていないことが多い。この場合、ポアソン境界はグロモフ境界の積の上に実現されることはわかっているが境界上の調和測度の性質(例えばハウスドルフ次元)については理解が進んでいない。この積を考える問題はノイズ鋭敏性の問題の設定で現れる状況であり、それ自体興味深いものである。本年度は2つのグロモフ双曲群の積の上のランダムウォークの研究を行い、調和測度のハウスドルフ次元について結果を得た。これについて論文にまとめ、プレプリントを公開し、ジャーナルに投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一般的な位相流について基本的なツールとなる結果を証明することができた。これによりこれまで計算されてこなかった値の具体例が計算できるようになり、その方面の研究をさらに推し進めることが可能となったため。

今後の研究の推進方策

構成した有限型サブシフトを用いてさらなる具体例の計算を蓄積していくことが課題である。これについては計算機を援用しつつ、地道に取り組んでいきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

以前COVID19の流行が影響し出張等を控えざるを得なかったため旅費に未使用分が生じている。これは次年度以降の出張旅費に当てる予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 6件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] シカゴ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      シカゴ大学
  • [雑誌論文] Glauber-Exclusion dynamics: rapid mixing regime2022

    • 著者名/発表者名
      Tanaka Ryokichi、Tsunoda Kenkichi
    • 雑誌名

      Electronic Journal of Probability

      巻: 27 ページ: 1-26

    • DOI

      10.1214/22-EJP865

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Non-noise sensitivity for random walks on word hyperbolic groups2023

    • 著者名/発表者名
      Ryokichi Tanaka
    • 学会等名
      Analysis and geometry of fractals and metric spaces Recent developments and future prospects
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Quasi-conformal measures and harmonic measures for hyperbolic groups: multifractal analysis2022

    • 著者名/発表者名
      Ryokichi Tanaka
    • 学会等名
      Probability and Analysis on Random Structures and Related Topics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] マルコフ連鎖のカットオフ現象2022

    • 著者名/発表者名
      田中亮吉
    • 学会等名
      量子情報ユニット報告会
    • 招待講演
  • [学会発表] 双曲群の位相流とコーディング2022

    • 著者名/発表者名
      田中亮吉
    • 学会等名
      京都力学系セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 積置換アルゴリズムとカットオフ現象2022

    • 著者名/発表者名
      田中亮吉
    • 学会等名
      スペクトラルグラフ理論および周辺領域第 11 回研究集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Invariant measures of the topological flow and measures at infinity on hyperbolic groups2022

    • 著者名/発表者名
      Ryokichi Tanaka
    • 学会等名
      PRIMA2022
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ランダムウォークの(非)ノイズ鋭敏性2022

    • 著者名/発表者名
      田中亮吉
    • 学会等名
      確率論シンポジウム
  • [備考] Ryokichi Tanaka

    • URL

      https://ryokichitanaka.github.io/index.html

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公開日: 2023-12-25  

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