研究課題/領域番号 |
20K03604
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 昇 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 講師 (10580160)
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研究分担者 |
初田 真知子 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (10364887)
吉田 純 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (20884662)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | categorification / Khovanov homology / Vassiliev invariant / Jones polynomial / TQFT / wall-crossing |
研究実績の概要 |
代表的な結果(論文)を挙げる. N. Ito and Y. Yoshida, A cobordism realizing crossing change on sl2 tangle homology and a categorified Vassiliev skein relation, Topology Appl., 2021. 本論文では,位相的場の理論(TQFT)に対してニュートラルな立場にある,Bar-Natanの構成によるKhovanov homologyの上で種数1射を導入し,結び目不変量となるsingular tangle homologyとともにcategorified Vassiliev skein relation, categorified FI relationを得た.以下,特にオリジナルな点を3点挙げる:(1) [Vassilievスケイン関係式の新しいcategorification]: ジョーンズ多項式の次数を保つ交差交換をBar-Natanのcategorificationで実現し, すなわちVassiliev関係式の任意係数 categorification を与えた.(2)[新しいタングル理論] : singular tangle complexを与えた.小さいsingular tangle complexesから大きなsingular tangle complexが得られる.(3)[categorificationされたFI関係式の意味づけ]: FI関係式が特異点のモノドロミーにおける"wall-crossing"であることがcategorificationされた立場から確認された. categorificationの分野では,何かを定義した後に,実際の計算が充分行われるようなものであるかというのは,一つのポイントであるが,この論文では具体的な計算が可能であることの証左として具体的なsingular link homologyの計算例も行っている. (尚,吉田純(研究分担者)の単著では,上記論文の内容の応用として,Khovanov homologyの計算が今までにはない方法で組織的に行われることが示された.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2000以降のKhovanov homologyの研究が爆発的であったため,圏論化されたウエイトシステムの構築に関して,参考となる既存事実がもっと存在するのではないかと考えていた.しかし我々がほしい命題に関しては,思ったより既存の結果を頼られないこと,むしろ既存の結果の証明も相当改良する必要性が出てきたことなどが,深く研究して初めて見えてきた.合わせて計画時に想定していなかったコロナ禍の影響があり,既存の論文に見えていない計算について議論をするための海外渡航もできていない.そのため,当初の目標は変えないものの少し時間がかかっている.これは研究がより深い意味で新規であることも示しているので,よい意味に捉え,当初の問題解決に対し,基礎的な部分からの,記法を含めた基礎理論の構築も合わせて進める.
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今後の研究の推進方策 |
出張が困難な現状が続いているので,オンラインのセミナーに関する環境整備に努める.計算サーバーの活用も重要視する.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナ禍により,出張が難しく,主に物品に振り替えた.計画:主にオンライン会議に有効な使い方をする予定.
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