研究計画どおりに研究を進め、一定の成果を得て、加えて研究計画には無い副産的な結果が得られた。 先ず計画通り、結び目のメタべき零的研究を進め、結び目の不変量を構成した。これはファイヴァー結び目のモノドロミーを有理ベキ零化して得られる。2次元曲面の写像類群で使用されるジョンソン準同型の議論を援用し、不変量を幾つか計算した。加えて、このモノドロミーにシンプレクティック性を見出す際には、Foxペアリングという高次の交叉形式が鍵となる事がわかった。私はポアンカレ双対性をもつ群に焦点を当て、群コホモロジーによるFoxペアリングの研究法を提唱した。そして上記の不変量の定量化を目指す上で、ジョンソン準同型の対数に着目した。私は対数の定義範囲を拡張する試みをし、実際"指数可解的な元"に限定する事で対数を定義した。以上は執筆済みである。 一方で副産的な結果として、プレプリントを4つ作成した。第一に、閉3次元多様体のChern-Simons不変量に関して、私はSL(2;C)表現すべてを考え、その不変量の和に関して予想を立てた。ある無限像の多様体のクラスに対し予想が正しい事を示した。第二に、Dehn手術を通して、閉3次元多様体の不変量を対称カンドルコサイクル不変量という絡み目不変量を通じて、構成する事に成功した。そして諸性質も示した。第三にDijkgraaf-Witten不変量の結果を得た。その不変量は有限群の群3コサイクルから構成されるが、私はその3コサイクルが複素表現の2次Chern類から由来する場合を考え、Riemann-Rochの定理を用い当不変量の12倍はある有限被覆空間のカップ積構造らで凡そ計算可能な事を示した。第四にライデマイスタートーションに関して、非輪状でない場合の定義の拡張する試みを行い、幾つか計算を行った。 以上のように期間中に、6本ほどプレプリントを作成する研究成果を得た。
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