研究課題/領域番号 |
20K03609
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 調和束 / ヒッグス束 / ツイスターD加群 / 不確定ホッジフィルとレーション / L2コホモロジー / ホロノミックD加群 |
研究実績の概要 |
ホッジ構造の変動に関して1980年代にアナウンスされていた柏原と河合による定理を、従順調和束の場合に拡張して証明しました。そして、正則な純ツイスターD加群に関する強レフシェッツ定理がケーラー多様体の間の射に関して成り立つことを示しました。これらの成果をプレプリントarXiv:2204.10443 として公表しました。 Qiongling Li氏との共同研究で、コンパクトとは限らないリーマン面上の一般的なヒッグス束が、非退化対称積をもつならば調和計量を持つことを示しました。特に、ヒッチン切断に含まれるようなヒッグス束が調和計量を持つか、という問に対して「ほとんどの場合は持つ」という肯定的な解答を与えました。また、リーマン面がコンパクトリーマン面から有限個の点を除いたもので、ヒッグス場が有理的なものである場合には、さらに詳細な分類を研究しました。これらの成果をプレプリントarXiv:2210.08215 として公表しました。 Szilard Szabo氏との共同研究で、ヒッチン方程式の大きなスケールの解の挙動について調べました。特に、スペクトル曲線が滑らかな場合に、ヒッグス束が局所的には良い非退化対称積を持つことを用いて、期待されていた収束を示すことができました。この成果をプレプリントarXiv:2303.04913として公表しました。 不確定ホッジフィルとレーションを持つような可積分混合ツイスターD加群の理論を整備しました。この成果は、Collino氏を追悼して出版される本に掲載される予定です。また、ホロノミックD加群の圏からenhanced ind-sheafの圏へのde Rham関手の像をしらべ、曲線への引き戻しの性質によって特徴付けられることを示した論文を出版しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの成果をまとめたもののいくつか出版することができました。また、新たな研究も始めていますし、それ以外にもいくつかの興味深い問題とアプローチが見えています。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えています。
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今後の研究の推進方策 |
いくつかの興味深い問題と、その解決に向けたアイディアがあるので、少しずつ形にしていきます。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度まではコロナ禍の影響で出張の機会がほとんどなかったのに対して、2023年度は複数の海外研究集会に招待されていたので、2023年度に使用するようにしました。
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