研究課題/領域番号 |
20K03612
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
山下 靖 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (70239987)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 双曲幾何学 / クライン群 |
研究実績の概要 |
曲面Σの基本群πからリー群Gへの表現全体の空間Hom(π,G)には群Gが共役により作用する。この作用による幾何学的不変式論の意味での商空間Xを指標多様体という。この指標多様体を、表現の像が離散群になる部分とそうでない部分に分割すると、前者はΣのG構造の変形の空間とみなすことができる。特にGがSL(2,C)の場合は双曲幾何構造の変形空間であり、重要な研究対象である。特に離散部分群はクライン群とよばれ、重要な研究対象である。また、指標多様体には曲面Σの写像類群が自然に作用し、この作用の複雑さによっても指標多様体は2つに分割される。これら2つの関係は未解明な部分が多い。 今年度は、SL(2,C)の部分群で楕円型の元2つによって生成されるクライン群で、算術的とよばれる条件をみたすものの分類のための研究を行った。楕円型の元はその位数で特徴づけることができるが、特に位数が6以下の場合において、どのような算術的クライン群が存在しうるかについて、計算機を用いた実験を行った。クライン群は指標多様体のパラメータを用いて記述され、それが算術的になるためにはそのパラメータが代数的整数であって四元数代数等に関する一定の条件をみたす必要があることが知られている。さらに、指標多様体上の写像類群作用に関して、BowditchのQ条件というものをみたさなければならないことが予想されている。そのため、これらに関する計算機実験を進めることで、算術的クライン群の完全分類に向けた候補を与えるための研究を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでSL(2,C)の部分群で楕円型の元2つによって生成されるクライン群で、算術的とよばれる条件をみたすものの分類のための研究を行った。楕円型の元はその位数で特徴づけることができるが、特に位数が2, 3の場合の研究をこれまで行ってきたが、これを進めて6以下の場合において、どのような算術的クライン群が存在しうるかについて、計算機を用いた実験を進展させることができた。 クライン群は指標多様体のパラメータを用いて記述され、それが算術的になるためにはそのパラメータが代数的整数であって四元数代数等に関する一定の条件をみたす必要があることが知られている。さらに、指標多様体上の写像類群作用に関して、BowditchのQ条件というものをみたさなければならないことが予想されている。これらに関する計算機実験を、位数が6以下の場合において進展させることができたため、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた計算機実験は進展しつつあり、これによって得られた算術的クライン群の候補について、理論的な検証を進めることが今後の研究の推進の中心となる。理論的な検証を進めるためには、得られたクライン群の幾何的な記述である基本領域を計算することなどを通して、双曲多様体(軌道体)の記述を与えることが次のステップになると考えている。 この方向で研究を進展させるため、基本領域を与えるためのいくつかの方法について検討を行い、そこで選択した方法を用いて計算を実行するための準備についても同時に進めることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた海外出張を含め、旅費の執行がコロナ禍のために実施できなかったため、次年度使用額が発生しました。旅費の計画について精査するとともに、部分的にweb会議システムを用いた方法に切り替え、必要物品の購入と合わせた使用を計画している。
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