| 研究課題/領域番号 |
20K03618
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| 研究機関 | 東京理科大学 |
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研究代表者 |
廣瀬 進 東京理科大学, 理工学部数学科, 教授 (10264144)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 低次元トポロジー / 写像類群 / リーマン面 / 周期的写像 / 擬アノソフ同相写像 / 分岐被覆空間 / 3次元多様体 |
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| 研究実績の概要 |
写像類群と結び目に関して主として次の研究を行った：
１）Balanced superelliptic ハンドル体群の研究（吉田勇耶氏（東京理科大学）、大森源城氏（東京理科大学）との共同研究）：３次元ハンドル体に作用する超楕円的対合と可換な３次元ハンドル体の写像類群の部分群については，金英子氏（大阪大学）との力学系的観点からの研究や有限表示の共同研究等がある．その結果を一般化することを目標に，今年度は，超楕円的対合を一般化した位数３以上のある種の巡回群作用と可換な３次元ハンドル体の写像類群の部分群， すなわち balanced superelliptic ハンドル体群の生成系について， Ghashwala-Winarski による balanced hyperelliptic 写像類群の研究結果や Hilden, Brendle-Hatcher や Tawn によるwicket 群の研究結果を元に， 研究を行った．
２）有向閉曲面上の圧縮可能な写像に関する力学系的観点からの研究（金英子氏（大阪大学）との共同研究）：３次元ハンドル体を一般化した概念として compression body （圧縮体）があり， 圧縮可能な境界をもつ3次元多様体の基本的な構成要素となっており，Bonahon などによる曲面上の写像の同境群の研究において重要な役割を演じた．Compression body の外側の境界上の同相写像で compression body に拡張できる写像を圧縮可能な写像という．今年度は，擬アノソフ同相写像で圧縮可能なものの存在やその力学系的性質について，特に超楕円的なものに関する準備的な考察を行った．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の理由より，研究はやや遅れていると判断した．
１）今年度の秋まで学科の主任を担当していた．そのために多くの時間を費やすこととなり，十分な研究時間を取ることができなかったこと．
２）コロナの影響により出張を行うことができず，研究打ち合わせにより研究を進展させることや，研究集会に出て研究成果の発表を行い最新の情報を得ることが難しくなったため．
３）Balanced superelliptic ハンドル体群について，有限表示やホモロジー群への作用，さらにはその群に含まれる元の力学系的な挙動などについて十分な考察が行えなかったこと．
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で得られた知見を元に，位相幾何学的な観点からの閉曲面や結び目等の対称性や複雑度に関する研究を引き続き行う．具体的には例えば以下の研究を行う．
１）Balanced superelliptic ハンドル体群の研究：今年度求めた balanced superelliptic ハンドル体群の生成系を元に，この群の有限表示，１次ホモロジー群への作用，コホモロジー群とその安定性，さらには，擬アノソフ元の存在やその力学系的性質について研究を行う．
２）有向閉曲面上の圧縮可能な写像の研究： 今年度得られた擬アノソフ同相写像で圧縮可能なものの存在やその力学系的性質についての考察を推し進め，圧縮可能な同相写像の特徴づけ，圧縮可能な擬アノソフ同相写像の拡大度や measured foliation の空間への作用を明らかにして，3次元多様体に埋め込まれた曲面上の写像類群と複雑さに関する研究を推進する．さらに，圧縮して現れる写像を定め，どの様な写像がその写像へ圧縮できるかについても考察を行う．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
以下の４点から，次年度使用額が生じた．
１）今年度予定していた国内や海外出張の計画が，コロナの影響等により取りやめになってしまった事．２）購入を予定していた計算機等について，種々の使用状況等を考慮して，次年度まで検討を持ち越したため．３）今年度に行う研究集会等への研究者の招聘費用を確保していたが，コロナの影響等により旅費が発生しなくなり，実際の支出が少なめになった事．４）今年度得られた知見について研究集会で発表を行い，さらに研究打ち合わせを行う予定がある為に，来年度多くの金額が必要になった事．
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