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2022 年度 実施状況報告書

可積分確率論における行列式構造

研究課題

研究課題/領域番号 20K03626
研究機関千葉大学

研究代表者

今村 卓史  千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (70538280)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード可積分確率 / KPZ方程式 / 確率過程 / 可積分系 / 数理物理学
研究実績の概要

昨年度(2021年度)我々はq-Whittaker関数と歪Schur関数についての2つの関係式を導出した.これらの関係式はCauchy等式およびLittlewood等式の精密化とみなせる.今年度はこれらの関係式を,q-push TASEP, ASEP, Log-Gamma polymer, Stochastic heat equation等のKardar-Parisi-Zhangクラスに属するモデル (以後KPZモデルと呼ぶ)に適用し,KPZモデルの観測量の分布およびそれらの極限を得た. 精密化Cauchy等式から上記のモデルの分布関数のFredholm行列式表示を得た.精密化Cauchy等式によって,KPZモデルの分布関数を周期的Schur測度と呼ばれる行列式点過程の分布関数で表されることが本質的に重要である.さらに精密化Littlewood等式から半空間上で定義された上記のKPZモデルの分布関数のFredholm Pfaffian表示を得た.またLog-Gamma polymer, Stochastic heat equationについて分布関数のKPZスケーリング極限を得た.半空間KPZモデルの数学的に厳密な解析はこれまで知られていなかった.我々は,精密化Littlewood等式を用いて,半空間KPZモデルの分布関数が自由境界Schur測度と呼ばれるPfaffian点過程の分布関数で表されることに着目し,Fredholm Pfaffian公式およびその極限を得ることに成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の研究成果を有効な形でKPZモデルに応用することができたため.

今後の研究の推進方策

精密化Cauchy, Littlewood等式の変種やさらなる精密化について研究を行う.クリスタル,箱玉系との関係について研究を行う.様々な初期,境界条件におけるKPZモデルへの応用可能性について探る.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で出張ができず,次年度使用額が生じた.2023年度は国際会議へ出席し研究発表や議論をなるべく頻繁に行いたいと考えている.そのための旅費として使用させたいただきたい.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)

  • [学会発表] Exact analyses of the KPZ models by the periodic and free boundary Schur measures2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Imamura
    • 学会等名
      Random Matrix EurAsia 2022 (online)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 歪RSK ダイナミクスによるKPZ モデルの解析2022

    • 著者名/発表者名
      今村 卓史
    • 学会等名
      東京確率論セミナー (online)
    • 招待講演
  • [学会発表] RSK approaches to integrable probability2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Imamura
    • 学会等名
      MATRIX/RIMS tandem workshop, Integrability, combinatorics and representation theory (RIMS Kyoto)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] KPZ models and free fermions at finite temperature2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Imamura
    • 学会等名
      統計力学セミナー (online)
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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