研究実績の概要 |
2020度はRazak-Jacelon環というKK可縮単純C*-環を中心列C*-環の性質で特徴付けるという研究を行った. 具体的には, 唯一つのトレイス状態を持つ可分核型単純C*-環の中心列C*-環が良い射影の比較理論などをみたすとRazak-Jacelon環と同型になることを示した. また, この特徴付けの証明を利用して, Aが唯一つのトレイス状態を持つ可分核型単純C*-環ならばRazak-Jacelon環とAのテンソル積はRazak-Jacelon環と同型であるという結果の別証明を与えることができた. この結果自体はCastillejos-Evingtonの結果とElliott-Gong-Lin-Niuの分類定理から証明されていたが, 今回の証明は核型次元有限なC*-環のI型C*-環によるトレイス近似と分類定理を利用していない. この研究で得られた成果はオンラインで行われた東京大学京都大学合同オンラインセミナー, RIMS共同研究「作用素環と量子力学系」, 日本数学会2021年度年会函数解析学分科会特別講演において口頭発表した.
今後はRazak-Jacelon環への従順群作用の研究を行う予定である. 特に, Razak-Jacelon環の中心列C*-環の性質による特徴付けの同変版を研究する. 具体的には, Razak-Jacelon環へのテンソル積型作用を中心列C*-環の作用による固定部分環の性質で特徴付けることを考える. この特徴付けによって幅広いクラスのRazak-Jacelon環への従順群作用を分類できる.
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