研究実績の概要 |
2023年度は主にRazak-Jacelon環という特別なKK可縮単純C*-環への捩じれなし従順群の作用の研究を行った. 特に, poly-Z群や捩じれなし可算可換群をすべて含む幅広いクラスの捩じれなし従順群のRazak-Jacelon環への強外部作用はコサイクル共役の意味で一意的であることを証明した. この結果は2021年度に本研究課題で得られた中心列C*-環の固定部分環によるKirchberg-Phillips型作用の特徴づけを用いることで証明できた. 特に, 2021年度に本研究課題で得られた結果の有用性を示すことができたということである. 今回得られた主結果はSzaboによるStrongly self-absorbing C*-環への捩じれなし従順群の作用の結果の類似がRazak-Jacelon環でも成立するということである. Strongly self-absorbing C*-環はCuntz環, UHF環, Jiang-Su環を含む単位的なC*-環であるが, C*-環やC*-環への群作用の分類理論において重要な働きをするC*-環である. 今回得られた結果から, 一般の単純 stably projectionless C*-環への群作用の研究においてもRazak-Jacelon環が重要な働きをすることが期待される. 今年度得られた成果は, 2023年11月に九州大学で開催された作用素論作用素環論研究集会において口頭発表した.
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