研究課題/領域番号 |
20K03633
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
野田 尚廣 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10596555)
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研究分担者 |
澁谷 一博 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00569832)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 微分式系の理論 / 微分方程式の接触幾何学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、Monge、Lie、Darboux、Goursat、E. Cartan等による古典的研究に端を発し、RB. Gardner、RL. Bryant、PA. Griffiths、田中昇、山口佳三、森本徹等によるその現代的解釈を通して伝統的に構築されてきた、(外)微分式系の理論ならびに微分方程式系の接触幾何学を基本的な観点として、いまだ不明瞭な事柄が多く、今後の発展性が見込まれる以下の2つの課題に取り組むことにある: (A) 微分方程式系に作用する変換群の制限(摂動)に伴う各種対応関係の解明 (B) 微分方程式系の簡約化理論の進化に伴う(厳密)解の求積論展開 下記の[現在までの進捗状況]欄にも記したように、昨今のコロナ渦の影響により研究時間がほとんど取れず、思うように研究計画を進展させることは出来なかった。しかしながらそのような状況において、研究分担者の澁谷一博氏(広島大学)と連携を図り、上記の研究課題を進める上で土台となる結果をまとめたプレプリントを(ファーストドラフトながら)なんとか仕上げることができた。この論文は、多変数一未知関数についての二階のジェット空間上で局所的に定義される接触変換(のなす擬群)を、(局所標準座標系を用いて)明示的に表現した結果についてまとめたものである。特にこの明示的表現を議論する際には、接触変換(擬群)の持ち上がり(リフト構成)に関する古典的なベックルンド型定理が議論の柱となる。我々の明示的表現を観察しながら、上記の古典的結果を含む歴史的背景についても再認識することができたのはよかったと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症が教育活動に与える影響を受けてしまい、多様な教育方法の実施に大幅な時間を割かねばならず、研究時間がほとんどとれなかった。
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今後の研究の推進方策 |
とにかく研究時間を確保できる状況になることを切に望む。そのうえで、まずは[研究実績の概要]欄に記したプレプリントをブラッシュアップし、なんとか出版にこぎつけたい。またこれと同時進行で、何かしらのよい性質を持つ特殊な接触変換(のなす部分擬群)もしくは偏微分方程式系のサブカテゴリーについて目星を付けられれば幸いである。また本年度、Web会議サービスによる遠隔での研究活動実施方法に一定の効果を感じることができた半面、やはり対面での研究討論の必要性も同時に感じた。この点において、来年度はコロナウイルス感染症の推移を見ながら、研究活動の実施方法について考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も前年度同様に、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画を大幅に変更せざるを得ない状況であった。このため書籍を中心とした物品の購入のみに助成金を活用した程度で、結果として余剰金が発生した。この分は来年度以降の研究遂行に役立てたい。どのように使用するかは、コロナ渦の推移次第である。
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