研究課題/領域番号 |
20K03640
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
本田 竜広 専修大学, 商学部, 教授 (20241226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | α-Bloch space / Bounded symmetric domain / Compact operator / Composition operator |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究実績の概要は以下の通りである。 複素平面Cの単位円板 U を多変数へと一般化した場合は、n次元多重円板 Un、ユークリッド単位球 Be を考察するのが自然である。しかし、この2つの領域は、双正則同相ではない。共通な視点としては、どちらも等質領域という点であり、これらを更に一般化した領域として、有界対称領域が考えられる。この有界対称領域は、JB*-triple と呼ばれるジョルダン3重積の構造を備えるバナッハ空間の単位開球 B として考察することができる。 2つのJB*-triple の単位球をそれぞれ B1、B2 とする。B1 から B2 への正則写像 φ:B1→B2 に対し、φによる合成作用素 Cφを Cφ(f)=foφ , f∈H(B2,C) で定義する。この合成作用素 Cφについて、1変数の単位円板 U の場合のBloch 型空間同士においては、有界性、コンパクト性に関して多くの数学者により研究されてきた。 本研究では、Bloch 型空間に関して、位数α、β を用いて拡張したα-Bloch 型空間、について考察し、JB*-triple の単位球上のα-Bloch 型空間からβ-Bloch 型空間において、合成作用素 Cφに関して考察した。その成果として、多重円板上のα-Bloch 型空間から有限次元有界対称領域上のβ-Bloch 型空間への合成作用素の有界性について、必要条件や十分条件を示し、多重円板 Un 上のα-Bloch 型空間から多重円板 Um 上のβ-Bloch 型空間への合成作用素について、有界となるための同値な条件を示した。さらに、この合成作用素 Cφのコンパクト性についても、必要条件や十分条件を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに得られたこれらの結果は、JB*-triple の単位球上のα-Bloch 型空間からβ-Bloch 型空間への合成作用素 Cφに関する有界性、コンパクト性を示すものであり、1変数の結果をJB*-triple へ拡張し、一般化して考察して得られた成果である。 これは、申請した研究目的へおおむね順調に進んでいると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)無限次元を含む、高次元の JB*-triple の単位開球において、Bloch 写像の種々の評価や、これらの写像全体が作る空間に関する諸性質を考察する。 (2)複素バナッハ空間上の正則写像や劣多重調和写像に対する諸性質について考察する。
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