研究課題/領域番号 |
20K03644
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大坂 博幸 立命館大学, 理工学部, 教授 (00244286)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | C*-環 / ロホリン性 / Althuge 変換 / ordered zero 完全正値写像 / 量子エンタングルメント / 作用素単調関数 |
研究実績の概要 |
令和4年の研究成果は以下の通りである:1.宇田川陽一氏とのエントロピーに関する共同研究の論文がLinear and Multiliner algebraに掲載された。また, IIT HyderabadのGolla Ramesh氏との任意の閉不変部分空間上でノルムを達成する単位ベクトルを持つ性質を持つクラスに関する基本的性質の結果をまとめた論文がAnn. Funct. Annal.に掲載された。これについて、2022年度作用素論・作用素環論研究集会で招待講演を行った。さらに、Ramesh氏 東洋大の山崎丈明氏、そして宇田川氏4人で研究した、作用素の関数計算に関する論文の掲載が決まった。さらに、山崎氏とAlthuge変換の力学系についてほぼ論文をまとめ終えた。 2.Operator and norm inequalities and related topicsの書籍において2章を, Trung Hoa Dinh氏, Oleg E. Tikhonov氏と作用素単調関数の特徴づけについて、和田州平氏とoperator perspective functionについて担当した。 3.ポーランドのグダンスク大学の博士課程の学生T. Mlynik氏を短期招聘し、量子エンタングルメントの探索について議論をし、彼の指導教員であるMarcin Marciniackと論文を書き現在投稿中である。これに関して、2023年度日本数学会年会で講演をした。 4.群馬大学の照屋保氏とC*-包含関係上のロホリン性について研究を行い、ロホリン性が中間C*-環における包含関係に遺伝することを示すことができた。 5.6月には、ベトナムQuynhon大学で開催された国際研究集会International workshop on matrix analysis and related topics を主催した。12月には、立命館大学において日中国際会議を主催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は国内出張はおおむね問題なくでき、東洋大学の山崎丈明氏とのAlthuge変換による力学系の研究や群馬大学の照屋保氏とのロホリン性を持つC*-環の包含関係の研究について定期的に遂行することができた。これらを通してC*-環の普遍的性質の遺伝性について少しづつ明らかになってきている。また、国外から研究者の受け入れも少しづつできるようになり、量子情報エンタングルメントやロホリン性について集中して議論をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度からコロナに対する国の方針も変わり、海外出張も気軽にできるようになるので、5月に蔚山大学のHyun Ho Lee氏を訪問し、C*-環Aからその超積C*-環A_\omegaへの埋め込み写像が、C*-環AからC*-環Bへの*-表現とC*-環Bから超積C*-環A_\inftyへの直行性を保存する完全正値写像を用いて分解する性質をもつ意味のあるC*-環包含関係 A < Bを発見し、安定階数1の遺伝性について解明をする。 また、6月に量子エンタングルメントについて、グダンスク大学における国際研究会Mathematical structures in Mathematical Mechanicsにおいて招待講演をする。7月には、Quy Nhon Universityにおいて, International Workshop on Matrix Analysis and Its Applicationsを主宰する。12月には中国上海大学において中日国際会議を主催する。 国内においては、群馬大学の照屋保氏および東洋大学山崎丈明氏と立命館大学東京キャンパスにおいて定期的にセミナーを行う。また、日本数学会の定期総会や京都大学数理解析研究所の研究会等で講演をする。 さらに、研究を活性化するため、国内外の若手を短期間立命館大学に招聘をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響が徐々に弱まり国内出張は可能になったが、国際出張が難しかったため直接経費の使用が制限された。今年度はコロナ以前の状態に戻っているので国内外の出張を積極的に行うとともに海外の研究者を招聘し研究の活性化に努める予定である。
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