研究課題/領域番号 |
20K03645
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴雄 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60527208)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ガルニエ系 / パンルヴェ方程式 / 離散可積分系 / ワイル群 / クラスター代数 |
研究実績の概要 |
研究代表者は大久保(青山学院大)との先行研究において,ある拡大された可約アフィン・ワイル群の双有理表現をクラスター代数の理論を用いて定式化した.この群の平行移動変換群と呼ばれる可換部分群は高階q-パンルヴェ方程式のあるクラスを与える.一方で,既存の高階q-パンルヴェ方程式にはラックス対と呼ばれる線形q-差分方程式系の差分両立条件から得られるものが多い.そのため,クラスター代数由来の方程式とラックス対由来の方程式との関係を明確にすることは,今後の研究を推進する上で急務であった. 本年度は上記の問題を解決する結果を得ることができた.すなわち,上記の拡大アフィン・ワイル群の双有理表現を正方行列を用いて定式化することに成功した.これにより,大久保との共同研究で得られていた高階q-パンルヴェ方程式は全てラックス対の差分両立条件として書き下すことが可能となり,また研究代表者によるq-ドリンフェルト・ソコロフ階層についての先行研究との関係や長尾・山田によるq-ガルニエ系についての先行研究との関係を完全に付けることが出来た.更に副産物として,Even4超幾何微分方程式のq-類似を,それを特殊解として持つ高階q-パンルヴェ方程式と併せて導出することが出来た. この研究結果はプレプリントとして既に公開済みであり,現在学術雑誌への投稿を準備中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響が大きかったため.具体的には,授業の全面オンライン化への対応に想定以上の時間を要したことと,研究協力者とのディスカッションが満足に出来なかったこと,この2点が特に大きな研究の妨げとなった.ただし,年明け以降は研究のペースをある程度取り戻し,結果として論文を1本執筆出来たので,これを基にして次年度以降は研究の遅れを取り戻していきたい.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた結果を基にして,クラスター代数とラックス対の関係,特にクラスター変数とラックス対の未知関数との関係を明らかにしたい.また,クラスター代数の理論のq-超幾何微分方程式への応用の可能性についても探りたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
出張を予定していた学会や研究集会がすべて中止またはオンライン化したため.次年度はPCとタブレットを1台ずつ購入する予定である.また可能であれば出張旅費として使用する.
|