研究課題/領域番号 |
20K03647
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
安藤 浩志 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (40767266)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Polish群 / Coarse geometry / 作用素環 |
研究実績の概要 |
作用素環論に関わるPolish群の大域的構造を松沢泰道(信州大学)、Michal Doucha (Czech Academy of Sciences)と共同で研究し、次の結果を得た:連結Banach-Lie群にRingroseのexponential lengthに相当するものを定義すると、これはRosendalの意味でmaximalかつminimalな距離を定め、したがって内在的な大域的(Bi-lipschitz)幾何学構造を与える。また線形Banach-Lie群のいくつかの例について性質(T)や粗い幾何学の意味でのHaagerupの性質を持つかについて調べた。 特に無限次元可換単位的C*環AについてはSL(2,A)はHaagerupの性質を持たないことを示した。半有限von Neumann環Mとその上の半有限忠実正則トレースτに付随するLp-ユニタリ群U_p(M,τ)は松澤氏との先行研究で性質(FH) (実Hilbert空間への任意のcontinuous affine isometric作用が固定点を持つ)を持たないことを示していたが、今回Haagerupの性質を持たないことを示した。またII_{infty}型因子環に限れば、U_p(M)のamenabilityはMのamenabilityと同値であることを示した。 現在これらの結果をまとめた論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Polish群の大域構造の研究の最初の段階として、連結Banach-Lie群のcoarse geometryについていくつかの非自明な発見があった。特にexponential lengthは自然な距離であり、今後の研究に有用であると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
上述の連結Banach-Lie群の研究で発見したexponential lengthと、よく使われるRiemann計量から得られる左不変距離の関係は興味深く、今後より詳しく分析したい。またRosendalの意味で非有界なPolish群の例をより多く発見していくことを目指したい。半有限von Neumann環Mに付随するLp-ユニタリ群U_p(M)は非有界かつHaagerupの性質を持たない群の典型例だが、そのユニタリ表現について今後調べていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で、全ての出張計画を取りやめた。 今後オンラインでの研究発表の機会が増えるため、プレゼンテーションに必要な機器を調達、整備した。また研究資料となる書籍を購入した。
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