研究実績の概要 |
Michal Doucha氏との単位的可分C*環のユニタリー群、自己同型群に関する共同研究を継続し、以下の結果を得た。 (1) Aを単位的可分C*環, Iを閉両側イデアル, とする。U_AでAのユニタリー群の単位元の連結成分を表す。このとき前年度のperfectイデアルに関する結果を応用して、U_Aの閉正規部分群Nに対して、あるperfectイデアルIが存在しU_Iのcommutator subgroupの閉包をCU_I, N_IをU_Aの要素uで(u,U_A)(U_Aの元とuとのcommutatorのclosure)がU_Iに含まれるものからなる群とすると、CU_I⊆H⊆N_Iを満たし、逆にこのようなHはU_Aの閉正規部分群である事を示した。 (2) U_Aに属する要素からなる内部自己同型で各点収束位相で近似されるAの自己同型全体をV_Aとあらわさす。同様にV_IをIのunitizationに対して定義する。このときA, I の中心列と二重超積を考察することでAからA/Iへの自然な全射PはV_A/V_IとV_{A/I}の位相群同型を導くことを示した。証明の各所で可分性が必要なため、可分性の仮定を落とすことができるか現在考察している。 Andreas Thom氏と以下の研究を行い、いくつか中間的成果を得た。 群Gと部分群Hに対して、しばしばGの部分集合Aでcommon transversal, Aが同時にGの右Hコセットの代表系かつGの左Hコセットの代表系となるようにできる場合がある。有限群の場合はこれはHallの定理の帰結であるが、無限群の場合一般にはHNN拡大などで容易にcommon transversalが存在しない群のペアを見つける事ができる。今回Gが位相群, Hが閉部分群である場合にどのような条件下でBorel集合をcommon transversalとして取ることができる場合があるかを研究しいくつかの十分条件を発見した(現在論文を準備中)。
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