研究課題/領域番号 |
20K03652
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
浅井 暢宏 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60399029)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 変形フォック空間 / 非可換確率論 / q直交多項式 / 離散確率分布 / 変形交換関係 / 変形個数作用素 / ブレンケ・チハラ多項式 |
研究実績の概要 |
荷重変形生成,消滅作用素を与え,付随するある種の変形ガウス型作用素とその確率分布について直交多項式論との関連を探りながら研究を行った.我々の一般化した枠組みには,ブレンケ・チハラ多項式の第4クラスに属するq-直交多項式と対称離散確率測度が含まれることを明確にした.1モードでの形式的な計算段階ではあるが,ブレンケ・チハラ多項式の第1クラスをも取込める可能性が出てきている.今後精緻に詰める必要がある.さらに,計算上現れる交換関係には変形個数作用素と荷重列の影響が色濃く反映され極めて多様な非可換性が関わっていることが予想され興味深い.変形個数作用素は確率測度の対称性と離散性の強弱を生み出す役割を果たしていると推察され,その役割を引き続き調べている.加えて,背後にある作用素たちが満たすq交換性に象徴される強い非可換性と,それに由来する確率論的性質の対応関係の解明を目指し研究を続けている.これらは,シュルマンやフランツらによる抽象代数的アプローチにも密接に関係していると思われ,関連研究を含めた文献調査を行うことで,新たな知識の獲得に努めた.深刻なコロナ禍の影響のもと,国内での非可換確率論や量子場理論に関わるオンライン研究集会において講演発表する機会を得た.複数の参加者に興味を持って頂くと同時に,表現論的側面から有益なコメントを頂いた.一方で,本研究課題を遂行するにあたり,国内外の研究協力者との研究討論や情報交換はZoomなどのオンライン会議システムを介しタブレット端末上で実施せざるを得なかった.対面での研究討論・情報交換とは異なり精緻に議論を詰めることが困難であった.数学研究における,対面での研究討論の重要性を実感した一年であった.一日も早い日常への回帰を祈るばかりである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画調書作成段階では全く予期出来なかった新型コロナウイルスの世界的流行により,本務校でのオンライン授業対応に忙殺され,本研究実施時間の確保が難しかった.また,当初計画していた研究協力者らとの研究討論・情報交換やそれらに伴う研究打合せがすべてキャンセルとなった.以上の理由により,研究進捗はやや遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
R2年度行った考察や,関連研究についての文献調査で得た知見をもとに,研究協力者らと研究討論・情報交換を行う.R2年度は実質的に実施困難であった研究協力者らとの対面による研究討論を状況が許す範囲で実施する.また,広く関連研究の情報収集のため文献を購入することにより新たな知見の獲得に努める.また,国内の研究集会等に出席することで専門的知識を付加する.結果として,非自明な具体例を伴った形で,より広範なクラスを取り込める枠組みの構築を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画調書作成段階では全く予期していなかった新型コロナウイルスによる世界的流行により,予定していた研究協力者らとの研究討論・情報交換に伴う研究打合せ出張,招待されていた国際研究集会出席に伴う海外渡航がすべてキャンセルとなった.以上の理由により,経費支出が実質不可能な状況が続いたため次年度使用額が生じた.R2年度実施困難であった研究協力者らとの対面形式による研究打合せ,および成果発表等の際の出張旅費として使用する予定である.また,広く最新専門情報を獲得するための図書等購入経費として使用予定である.
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