最終年度はClifford代数に付随した冪零Lie環(群)の不変直交latticeの構成と分類の研究、cone singularityを持つ多様体上の熱核の構成、及びdouble submersionによって定義されるRadon変換とFourier積分作用素の関係についての研究に時間を費やした。前者はNorwey・Bergen大学のI. Markina氏との研究である。残り二つははGermany・Hannover大学のW. Bauer氏と兵庫県立大学名誉教授の岩崎氏等からの助言を受けつつの研究である。特に23年6月から8月にドイツHannoverに滞在して研究を行い、Hannover大学では23年7月に"Radon transformation and Fourier Integral Operators”の題目で講演も行った。現時点では部分的な結果にとどまっているが年度が変わった時点で論文にまとめて、次年度以降のの科研費研究に続ける予定である。最初のについてはそれまでCorona禍訪問が出来なくて研究が停滞していたが22年秋のNorway・Bergen大学に滞在により共同研究者と本格的に推められることになったが、その後今年度になり更に修正と追加が必要であることが見えてきて、23年度はzoomでの議論を一年を通じて重ねてきた。年度末にようやく最終形が見えてきたところであるが、もう少し検討が必要であり、この問題も次年度以降の科研費研究に継続する。本科研費研究が始まったときがコロナ禍の始まりでもあり、2年間はほぼ閉じこもりの状態であったが、ある意味それが幸いしてその最初の年に一年程かけてCayley射影平面上のBargmann変換の構成に成功した。Cayley射影平面のpunctured cotangent bunndleのKahler構造の標準束が正則自明であることが示せたことが構成に成功した大きな要因である。
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