研究課題/領域番号 |
20K03666
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
|
研究分担者 |
赤堀 次郎 立命館大学, 理工学部, 教授 (50309100)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 拡散過程 / 弱い微分 / 安定過程 / 最大 / ジャンプ型確率微分方程式 |
研究実績の概要 |
拡散過程の微分の研究に関してゆっくりなペースで進んでいる。1次元の拡散過程があるレベルを達成すると停止されることに関しての弱い意味で微分の存在についてほぼ完成している。現在、細かい議論や論文の書き方などについて努力している。最初にドリフト係数がない場合では拡散過程が対称的であるため微分の表現が普段の拡散過程の微分と同じく線形な確率微分方程式の解である。ただし、ドリフトの係数の影響があると微分の表現ではLocal timeが現れることが特徴である。このような現象が反射確率過程でも双対的に現れることが最近わかった。ただし、その場合では弱い意味の微分より軌道の微分が可能であるので今回の研究結果と異なるポイントがいくつか見られた。ドリフトがないときには微分の表現でドライブ過程としてLocal timeが現れない。安定過程の最大とその過程の同時分布に関して研究目標ができ、その論文を審査中である。この論文ではシミュレーション方法に基づいて分布の解析方法を提案した。方法の内容として:1.最大の近似をするためにconvex majorantによる近似を構築し、幾何的な収束レートを持つことを証明した。2.安定分布のシミュレーション方法としてChamber-Mallows-Stuck方法により、この分布を実現できる。3.Multi-level Monte Carlo方法により有限次元から無限次元への構築ができる。この3つの要素を利用し、ほぼ最適な上からの密度関数の評価が得られた。似たような概念ではモメント方法とAsmussen-Rosinki近似方法を利用し、ジャンプ型確率微分方程式に関しての密度関数の存在や滑らかについて結果が得られた。論文を作成し、現在、審査中である。この2つのテーマによってシミュレーションで活用している方法も理論のために利用できることが証明できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定が許す限り週1回、共同研究者に問い合わせしている。ただ、やはり時差のことがあり、適切な研究議論時間の確保ができないことや渡航の制限により直接議論できないこともあり、研究があまり進んでいない。安定過程の結果については我々が使った解析的なやり方が初めて使われたため、多くの研究者が理解するまで時間がかかる可能性がある。そのため、できるだけ幅広く情報を広めたいがコロナ禍の中でオンラインでしか発表できないため研究者との議論が困難であり論文の理解がされるまで時間がかかると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
多次元の拡散過程に関しての弱い意味の微分に関して微分の表現について研究を進めることを目的にする。特に1次元の場合との差について検討する。現在の状況では証明ができていないが、接線方向と直行方向での微分の性質が異なると確信している。ただし、証明に関してはいくつか技術的な難問が残っている。対称的な現象は反射付きの確率微分方程式で知られているためその技術から何か証明の検討を始めたいと思っている。また、このような研究の一つの応用としてBismut-Elworthy-Li公式や部分積分公式に関しても検討をする予定である。この研究を共同研究として計画しているため共同研究者との直接議論ができない状態が続くことを想定しているため、関連である別問題も考え始めている。例えば、領域が滑らかでないときに停止された拡散過程の微分に関して検討をすることや滑らかでない係数を持つ確率微分方程式の理論誤差のないシミュレーション方法について検討する。とりあえず簡単な領域から検討する。例えば円錐などが考えられる。このような問題は拡散過程の係数が滑らかでないことと深い関係があると思っている。特にregime switchingと呼ばれるモデルでは係数が非連続なのでその中のモデルに関して応用も含めて考え始めている。数理ファイナンスではvolatilityと呼ばれる拡散過程の係数が急に変わることによってこの係数が支持関数によって定義できるが、具体的な計算やシミュレーションが困難であるため難しい問題とされている。不連続点が一つであればこの拡散過程がskew Brownian motionと呼ばれる過程と関係しているためいろんな先行研究がある。ただし、不連続点が複数になった場合では計算が難しくなっている。この研究を進めることを目指している。特にoption価格、Greeksなどのシミュレーションに関して検討したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で研究会の参加や共同研究者の訪問ができていないためその金額が今年や来年度を利用するつもりだがどこまで執行できるのか未定である。
|