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2021 年度 実施状況報告書

非線形シュレディンガー方程式における確率的効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K03669
研究機関東北大学

研究代表者

福泉 麗佳  東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00374182)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード光ファイバー通信 / 非線形シュレディンガー方程式 / 量子同期 / Kuramoto モデル
研究実績の概要

電磁波を記述する基礎方程式はMaxwell方程式であるが, 光ファイバー中を伝播する光波のモデリングは, Maxwell方程式に非線形媒質効果を取り入れて近似をした後で波の包絡線の時間発展の方程式として導出される非線形 Schrodinger方程式で行われる. 一方, 分散マネージメント光ファイバーという昔から実際に導入されてきた光ファイバー技術がある. その技術とは, 入力した波が元来持つ分散性によりエネルギー損失が起こるのを防ぐために, 分散性をランダムにあるいは周期的に符号変化させて分散の平均をゼロとするようなファイバーを作るというものである. しかしながら, この分散マネージメント光ファイバーのモデル方程式はランダムあるいは周期的な係数を考慮したMaxwell方程式の近似として非線形Schrodinger方程式で表現されるものなのか, しかも分散マネージメント効果というのは導出した非線形Schrodinger方程式のどこに現れてくるのかという疑問が以前から問われていた. この問いに対して, 否定的な解答(例)を得, 単独の非線形 Schrodinger方程式でなく, 非線形Schrodingerのシステムが近似であるはずだという結論を導いた. Lohe (2010 J. Phys. A.)が発表した論文中には「量子同期モデル」と呼ばれる Kuramotoモデルの量子版で非線形シュレディンガー方程式を用いたモデルが提案されている. Loheの提唱モデルは量子デバイス中に量子同期を起こすことにより, 情報をより安定して送ることができるのではないかという発想からきている. そこで2014年あたりから同期の数学的定義に始まり, 時間が十分経った後, どのような種類の同期を起こしているのか等を多くの数学者たちが研究を盛んに行ってきた. しかし, 同期現象がノイズの影響を受けてどのような変化をするかという問いは完全に未解決であった. このノイズの影響を L. Hahn 氏と共に研究した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

出張して議論できない分, 少しずつであるがメールでのやりとりやZoomなどを用いて研究をすすめているが, 当初の研究計画どおりではないことは否めない. 対面で共同研究を行えた方がさらに要領よく研究成果もより良いものが出せると思われる.

今後の研究の推進方策

今年度調べた量子同期におけるノイズの影響の研究をもとにして, 今度はどのようなノイズを付加すると同期が起こるのかということを調べたい. また, Maxwell方程式から非線形シュレディンガー方程式を導出した手法を応用して, パターン形成においてどのようなノイズを加えるとパターンの形が保持されるのかということについて調べる.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の世界的蔓延により、国内出張も海外出張も出来ない状況が続いている。そのため、出張が出来るようになったら、繰越金額を旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)

  • [国際共同研究] Ecole Normale Superieure(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Ecole Normale Superieure
  • [国際共同研究] Universitat Stuttgart(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Universitat Stuttgart
  • [雑誌論文] Interchanging Space and Time in Nonlinear Optics Modeling and Dispersion Management Models2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuizumi Reika、Schneider Guido
    • 雑誌名

      Journal of Nonlinear Science

      巻: 32 ページ: /

    • DOI

      10.1007/s00332-022-09788-8

  • [雑誌論文] Stochastic Schr?dinger-Lohe model2021

    • 著者名/発表者名
      Fukuizumi Reika、Hahn Leo
    • 雑誌名

      Journal of Functional Analysis

      巻: 281 ページ: 109224~109224

    • DOI

      10.1016/j.jfa.2021.109224

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Statistical thermodynamics in the BEC model2022

    • 著者名/発表者名
      福泉麗佳
    • 学会等名
      NLPDE Spring セミナー 京都大学
    • 招待講演
  • [学会発表] Stochastic models arising in quantum phenomena2021

    • 著者名/発表者名
      福泉麗佳
    • 学会等名
      RIMS 共同研究(公開型) 調和解析と非線形偏微分方程式
    • 招待講演
  • [学会発表] Nonlinear Schrodinger equation: soliton, blow-up and noise2021

    • 著者名/発表者名
      福泉麗佳
    • 学会等名
      奈良女子大学 岡潔女性数学者セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 有限温度のボース・アインシュタイン凝縮を記述する確率微分方程式2021

    • 著者名/発表者名
      福泉麗佳
    • 学会等名
      東京工業大学量子物理学・ナノサイエンスセミナー第323回セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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