研究実績の概要 |
現代物理学の2つの柱「相対論」と「量子力学」、この2つの理論を統合し相対論的量子力学を具現化するディラック方程式。速度が光速に近い場合でも適用可能なこの波動方程式は1928年に P.A.M. Dirac により導かれた。非相対論的量子力学のシュレディンガー方程式の導出方法に用いられることを一例とした多彩な応用を含む。また1970 年にMario Soler が4フェミリオン相互作用を経由する場の量子論のモデルとして非線形偏微分方程式としての枠組みで理論を展開したのが非線形ディラック方程式の Soler モデルである。対する非線形シュレディンガー方程式はプラズマ中のラングミュア波や、光ファイバー中のレーザーなどを記述する。研究課題は「非線形ディラック方程式の非相対論的極限」である。非線形ディラック方程式の解が、光速度を表すパラメータを無限大にした極限(非相対論的極限)において、非線形シュレディンガー方程式の解に収束する位相を解析する。令和2年度は関連著作として以下の3本の論文を出版することができた。
S. Kawakami and S. Machihara, Blowup solutions for the nonlinear Schrodinger equation with complex coefficient, Differential Integral Equations, 33 (2020), 445--464. Y. Aoki, J. Bennett, N. Bez, Neal, S. Machihara, K. Matsuura and S. Shiraki, A supersolutions perspective on hypercontractivity, Ann. Mat. Pura Appl. (4), 199 (2020), 2105--2116. S. Machihara and M. Okamoto, Sharp ill-posedness of the Dirac-Klein-Gordon system in one dimension, Nonlinear Anal., 192 (2020), 111687, 11.
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