• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

楕円型偏微分方程式の解の対称性と非対称性

研究課題

研究課題/領域番号 20K03686
研究機関佐賀大学

研究代表者

梶木屋 龍治  佐賀大学, 理工学部, 教授 (10183261)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード半線形楕円型方程式 / 変分法 / ラグランジェ汎関数
研究実績の概要

ある半線形楕円型偏微分方程式に対して, 領域が球および円環領域の場合を考察し, 正値球対称解の存在を証明した. 非線形項に対する仮定が, 従来研究されている物より非常に弱い仮定であり, なおかつ一般的な条件の下に正値球対称解の存在を証明した. また, 得られた正値球対称解での線形化作用素の第1固有値が非負であることを証明した. ラグランジェ汎関数の最小点として正値球対称解を得ている.
2階の常微分方程式の1種である Moore-Nehari 微分方程式について研究した. この微分方程式は, 非線形項の係数関数が, 不連続な偶関数となっている. この微分方程式の区間(-1,1)における2点境界値問題を研究した. 解が偶関数または奇関数であるときに対称な解と呼ぶ. 非負整数 n に対して, Moore-Nehari 微分方程式の解が区間(-1,1)において, ちょうどn個の零点を持つときに, n-nodal 解と呼ぶ. この研究において, 任意の非負整数 n に対して, u'(-1)>0 を満たす n-nodal な対称解の存在と一意性を証明した. 非負整数m,nに対して, Moore-Nehari 微分方程式の解が区間(-1,0)にちょうどm 個の零点をもち, なおかつ区間(0,1)にちょうどn 個の零点を持つときに(m,n)解と呼ぶ. この研究において, 任意の非負整数 m,nに対して, (m,n)解が存在することを証明した. 従来では, n-nodal 解の存在に関する研究がほとんどであり, (m,n)解に関する研究はなかった. 従って, 本研究はきわめて独創的な研究であり, 解空間の多様性を表すものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度は1編の論文が査読付きの専門誌に掲載された. この結果を国際学会で講演発表する予定であったが, 新型コロナウイルスの影響で国際学会は中止となった. また国内の研究集会は, オンラインでいくつか行われた. 日本数学会で2回の講演をオンラインで行った. また, 京都大学数理解析研究所でのオンラインの研究集会でも講演発表を行った. 研究は概ね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

1. 現在までに得られた研究成果を精査し今後の研究の基礎とする. また海外の研究集会(対面またはオンライン)に出席し, 自分自身の研究成果を発表することにより, 他の研究者の評価を受ける. これにより自分の研究水準が世界的基準からどのような位置にあるかを知ることができる. またその際に, 外国の数学者と情報交換をして, 現在の世界の数学の方向を知るとともに, 自分の数学の研究材料と情報を集める.
2. 国内の研究集会(対面またはオンライン)に出席して, 自分の研究成果を発表する. またその際に, 共同研究者と研究打ち合わせを行い, 今後の研究の進め方について討論し, 情報交換をする.

次年度使用額が生じた理由

今年度はコロナウイルスの影響で, 国内及び海外の対面での研究集会がなく, 出張費に科研費を使わなかったために次年度使用額が生じた. 来年度は, 研究資料として, 多数の文献, 書籍を購入する. また, パソコンを新規に購入する. 次年度使用額は, これらに使用する予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] Faculty of Basic Sciences/Keimyung University(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Faculty of Basic Sciences/Keimyung University
  • [雑誌論文] Existence of positive radial solutions for a semipositone elliptic equation.2020

    • 著者名/発表者名
      R. Kajikiya and E. Ko
    • 雑誌名

      J. Math. Anal. Appl.

      巻: 484 ページ: 1-19

    • DOI

      10.1016/j.jmaa.2019.123735

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 劣線形 Moore-Nehari 方程式の nodal solution の存在2021

    • 著者名/発表者名
      梶木屋 龍治
    • 学会等名
      日本数学会, 慶應義塾大学 (オンラインでの学会)
  • [学会発表] Moore-Nehari 方程式の対称および非対称なnodal solution の存在2020

    • 著者名/発表者名
      梶木屋 龍治
    • 学会等名
      日本数学会, 熊本大学 (オンラインでの学会)
  • [学会発表] 劣線形楕円型方程式の無限に多くの解の存在2020

    • 著者名/発表者名
      梶木屋 龍治
    • 学会等名
      埼玉大学談話会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi