研究課題/領域番号 |
20K03700
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 直人 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10437337)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多重線形作用素 / 擬微分作用素 / フーリエ乗法作用素 |
研究実績の概要 |
調和解析(実解析)の分野では,2000年頃から線形の理論を多重線形の理論へと拡張する話題がメインテーマの1つとして活発に研究され,現在ではこの種の話題を多重線形調和解析と呼ぶことが多い.多重線形調和解析は,単なる線形理論の一般化などではなく,調和解析の問題として眺めても非常にチャレンジングであるし,また応用面から眺めても偏微分方程式論の発展の可能性を大いに秘めている.本研究では正則性の観点から多重線形フーリエ乗法作用素および多重線形擬微分作用素に代表される多重線形作用素に対する有界性定理の精密化を目標に,特に L^2 の特別な構造をとらえた研究を目指す. 2020年度は S_{0,0} 型と呼ばれる微分をしても評価が変わらないタイプのシンボルを持つ双線形擬微分作用素の研究を活発に行った.まず,以前の加藤睦也氏(群馬大学)と宮地晶彦氏(東京女子大学)との共同研究で得られていた L^2×L^2 上の双線形擬微分作用素に関する結果において,ターゲット空間を Besov 空間で考えることにより,それまでの amalgam 空間を用いて得られていた結果とは比較できない興味深い有界性を得ることに成功した.また,加藤氏と宮地氏との共同研究を続け,それまでは関数空間の指数が非常に制限された範囲でしか得られていなかった双線形擬微分作用素の有界性に対し,その制限を取り除くことができ,結果,Loukas Grafakos 氏らの Lattice Bump Multiplier に関する研究を改良することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多重線形擬微分作用素の有界性を調べる際に,Wiener-amalgam 空間が非常に有用な関数空間であることを発見した.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究ではルベーグ空間の枠組みでの有界性を主に研究したが,今後は Besov 空間や Triebel-Lizorkin 空間などの様々な関数空間を考えることにより,より鋭い有界性定理を見つけ出したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で出張に行くことができず,科研費をほとんど使用させていただくことができなかった.2021年度は,書籍,パソコンソフトなどの研究をサポートしてくれる物品などに科研費を有効に使用させていただく予定である.
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