研究課題/領域番号 |
20K03707
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
立川 篤 東京理科大学, 理工学部数学科, 嘱託教授 (50188257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 変分問題 / 弱解の正則性 / double phase / p(x)-growth |
研究実績の概要 |
double phaseタイプと呼ばれるタイプで,さらに変動する指数を持つタイプの汎関数の最小点を与える写像の正則性に関して研究を進めている.今年度扱ったものは(|Du|のp(x)乘)+a(x)|Du|のq(x)乘)の積分で与えられるタイプの汎関数である.ここで,Duはm-次元ユークリッド空間の有界領域Ω上で定義されn次元ユークリッド空間に値を持つ未知関数uの微分,p(x), q(x), a(x)はいずれもΩ上で定義されたヘルダー連続な関数で,q(x)は各点でp(x)以上,p(x)は1より真に大きく,a(x)は0以上の値を取る関数とする.このタイプの汎関数double phaseタイプと呼ばれるタイプで,指数p(x), q(x)が定数の場合に対してはGiuseppe Mingione等のグループを中心に盛んに研究されているが,この指数を関数としたものは-M.A.Ragusaと立川の共同研究により初めて取り扱われた. 2020年度はRagusaとの共同研究を更に進め,(|Du|のp(x)乘)+a(x)(|Du|のp(x)乘)log(1+|Du|)の積分で与えられる汎関数の最小値を与える写像の正則性を研究する予定であったが,コロナ禍のため研究連絡が殆どできず,一時中断を余儀なくされている.一方,前記p(x)-q(x)タイプの汎関数の最小点に対する定義域Ωの境界上での正則性の問題に関しては単独で研究していたが,こちらに関しては2019年からの研究が実を結び,結果を得ることができた.この成果はJournal of Mathematical Analysis and Applicationsに掲載予定である(電子版はすでに公開済み).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で遠隔授業の準備に忙殺され,また海外出張,外国人招聘もできなかったため共同研究者・Maria Alessandra Ragusa (カターニア大・イタリア)と研究連絡もままならず,思うように研究を発展させることができなかった. 一方,単独でおこなっている境界上での正則性に関する研究に関しては進捗が見られた.
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今後の研究の推進方策 |
私の研究では,共同研究者たちと直接会って意見交換・討議することが重要で,海外との行き来が制限された現在,非常な困難な状況にある.zoomでの意見交換は隔靴掻痒の感を免れ得ないが,コロナ禍が長引く様相を呈してきた現在,zoomによる研究連絡に頼らざるを得ないだろう. いずれにしても,まずは頓挫中のRagusaとの共同研究を, zoomを利用しながら再開する方策を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究連絡のため予定していた国内外の出張,外国人研究者の招聘がすべてコロナ禍のために中止せざるを得なくなり,大幅に研究費を余らせる結果となってしまった. 2021年度も同様の状況が続くか見通せないが,外国との交流が再開できしだい,予定していた出張・招聘を実現し,研究を推進していく予定である.また,コロナ禍がさらに長引き,2021年度後半以降も対面での研究連絡に困難が予想される場合は,遠隔での研究連絡を円滑に行えるよう必要機器を購入することも考えている.
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