研究実績の概要 |
これまで,閉曲面F2上の(頂点数の偶奇及びcycle parityと呼ばれる不変量が等しい)任意の2つの多面体的四角形分割は4CA,4CR,33SPL,33CONT,P-FLIP,Y-ROTと呼ばれる局所変形を用いて互いに移り合うことがわかっていた.これらの操作の極小性に着目し,33SPLと33CONTはどちらか一方のみでよく,上記の6個の変形のうち5個あれば十分であることを示した.また,その5個の変形は操作の集合として極小であることも示した.(つまり,任意の(5個の操作の集合の)真部分集合では,移り合わない多面体的四角形分割のペアが存在する.)これらの結果を11月に横浜で行われた国際会議「35th Workshop on topological graph theory」にて発表し,特に海外の研究者等(アメリカのM.Ellingham, チェコのT.Kaiser等)からの質問を受け,説明及び議論を行った.現在,上記の内容をまとめた論文を執筆している状況である. 閉曲面上の例外的3-染色的三角形分割に関しては,昨年度得られた結果(オイラー標数-8の閉曲面に対して唯一の例外的3-染色的三角形分割が存在する)を投稿論文としてまとめている状況である.上記の唯一のグラフは現在確認されている例外的3-染色的三角形分割の中で唯一,完全3部グラフではないものである.(そのグラフは完全3部グラフK_{5,5,5}から長さ6の閉路上の辺を除去して得られる非常に対称的な構造をもっている.)オイラー標数-9以下の閉曲面上のグラフに対しても議論を行っているが,場合分けが多数発生しそうなので,それを計算機に行わせるプログラム作成も同時に行っている.
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