研究課題/領域番号 |
20K03717
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
渕野 昌 神戸大学, システム情報学研究科, 名誉教授 (30292098)
|
研究分担者 |
酒井 拓史 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (70468239)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | Laver-genericity / 絶対性 / 反映原理 / 連続体 / 連続体仮説 / Maximality Principles / Resurrection Axioms |
研究実績の概要 |
Laver-generically large cardinal (LGLC) の存在を主張する公理群に関する研究を,更に進めた.これらの公理のうち,Laver-generically superhuge cardinal の tight な存在公理から,Joel Hamkins と Thomas Johnstone による Resurrection Axiom が導かれることが,示せた.更に,Konstantin Tsaprounis の導入した ultrahuge cardinals に対応する Laver-generically ultrahuge cardinal の存在公理から,同じ Tsaprounis による,Unbounded Resurrecion Axiom (UR) や,Hamkins による Maximality Principle の一つの variant が導けることも,示せた. これらの結果は,大きな巨大基数に対応する LGLC の存在の主張に,集合論の 「本当の」universe が持つことを期待される絶対性や反映の性質を統合できることを示唆している. なお,tightly Laver-generically ultrahuge cardinal の存在公理たちのモデルは,superhuge cardinal の存在する集合論の モデルから出発して強制法により構成することができる.Ultrahuge cardinal は,非常に大きな巨大基数ではあるが,この性質は,super almost 2-hugeness から帰結できることが,Tsaprounis により示されている.したがって,この巨大基数の存在公理は,rank-into-rank cardinals よりは下の階層に属すものである. UR 自身の consistency は,既に extendible cardinal の存在の仮定から導けるが,研究代表者と研究分担者は,この extendible cardinal の small large cardinal 版と言えるものを導入し,その abstract model theoretic な特徴付けと,この基数の存在の consistency strength の評価を与えた. 研究代表者は,これらの結果と関連した講演を,New York Set Theory Seminar 等の zoom seminars や zoom/hybrid conferences で行なった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の研究により,ultrahuge cardinals の存在,というこれまで研究で考察してきた supercompact, super almost-huge, superhuge といった巨大基数の存在公理より更に強い仮定から強制法によってモデルを構成できる,該当する iterable な posets のクラスに対する Laver generically ultrahuge cardinal の存在公理を仮定することで,同じ iterable な posets のクラスに対応する Maximality Principle の variant や強い形の Resurrection Axiom が導かれることが示せた. このことは,非常に大きな巨大基数に対応する Laver generic large cardinal の存在が,連続体 (濃度) の周辺での強い絶対性や反映原理を統合する原理となっている,という本研究の立案段階での基本仮説を強く支持し,2020年度までの研究で得られていた,Laver-generic large cardinal の存在から導かれる連続体の濃度に関する三分律定理の意義は,この研究結果により,大きく引き上げられた,考えることができる.次年度の研究で,これらの結果を更に精査/改良できれば,本研究の掲げた目標の大きな部分が達成できたことになる,という解釈が可能に思える.
|
今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べたような,既に得られた,強い絶対性や反映原理の連続体周辺での統合に関する結果を精査/改良し,この研究成果を複数の論文として発表し,国際学会やセミナー等での研究成果の報告を行なう. 現在,LGLC と Ground Axiom の両立の可能性と,Mateo Viale による,集合論のモデルの model companion に関連する公理群と LGLC の関連性が未解決の問題として残っており,これらに関する研究に着手する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は,Covid-19 の感染状況のため,海外の研究者の招聘や,研究打合せ/研究討論のための海外出張ができなかったことである. 2023年度の初めには,pandemic の終焉が見えてきているので,この年度の後半に,国内外の関連研究の研究者を複数神戸に招聘し,また,海外のセミナーや学会などに in person で参加して,本研究の成果についての報告を行ない,本研究の研究結果を更に発展させる研究の方向を探るための,研究討論等を行なう予定である.
|