研究実績の概要 |
q 個の元から成る有限体(q 元体)F_q 上の長さ(符号長) n, 次元 k, 最小重み d の線形符号([n,k,d]q 符号)が存在する限界(特に、[n,k,d]q 符号が存在するような長さ n の最小値 n_q(k,d))を決定する問題は、符号理論において最も基本的な研究課題の一つであり、最適線形符号問題(Optimal Linear Codes Problem)と呼ばれる。線形符号が拡張可能であるための条件を射影幾何の手法を用いて新たに求め、その研究によって得られた拡張定理を用いた Griesmer 符号等の非存在証明による最適な線形符号がもつ長さの最小値の確定、最適な線形符号のコンピュータによる探索と構造解析、arc や blocking set といった有限射影空間における(多重)集合の特殊な構造を用いた符号の構成等を通して、最適線形符号問題の解決を目指すのが本研究の主目的である。 本年度は、主に3元体上の線形符号と q元体上の4次元線形符号の最適線形符号問題(n_3(k,d) と n_q(4,d) の決定問題)について取り組み、PG(3,q) の hyperbolic quadric を用いた最適な4次元線形符号の構成方法や n_3(k,d) が Griesmer 限界を超える最大の d を求める問題等について、新たな知見を得た。これらの成果は、国内の離散数学や組合せ論に関する研究集会や国際会議 BCC 2021 で発表を行った。射影空間の blocking set については、PG(4,2) における非自明な極小 blocking set の分類等に関して熊本大学の城本教授らと共同研究を行った成果を国際学術雑誌に発表した。また、4元体上の線形符号の拡張可能性についても取り組み、新たな拡張定理が得られた。
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