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2021 年度 実施状況報告書

グラフの距離拡張性を用いた因子問題の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03723
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

藤沢 潤  慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (00516099)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード完全マッチング / 因子問題 / マッチング拡張性 / フラーレン
研究実績の概要

本年度は、主にフラーレンに関連するグラフにおいて研究成果が得られた。その結果について以下に述べる。
3-連結3-正則平面グラフで、全ての面の大きさが5もしくは6であるものはフラーレングラフと呼ばれ、全ての面の大きさが4もしくは6であるものは(4,6)-フラーレングラフと呼ばれる。フラーレングラフにおける完全マッチング(1-因子)はフラーレンにおけるケクレ構造に相当するため、特に注目すべき研究対象となっている。
Gをフラーレングラフもしくは(4,6)-フラーレングラフとし、MをGにおける完全マッチングとする。Gの六角形面でMの辺をちょうど3本含むものはM-交互的と呼ばれる。また、Gの点素な六角形面の集合Hで、いずれの面もM-交互的となるような完全マッチングMが存在するとき、Hはresonantパターンであると呼ばれる。
先行研究において、頂点数が60より大きい任意のフラーレングラフは3つの面からなるHでresonantパターンでないものを持つことが得られている。そのため、既存のresonantパターンの研究の多くは|H|が3以下のものに関して行われていた。しかしながら直感的には、頂点数が非常に大きいフラーレングラフにおいては、|H|が大きくてもresonantパターンとなるものが多数存在すると推測される。本研究では、手始めとしてフラーレングラフよりも扱いやすい(4,6)-フラーレングラフについて調査を行った。その結果として、任意の自然数kに対して、頂点数が十分大きい(4,6)-フラーレングラフにおいては|H|=kとなる点素な六角形面の集合Hのほとんど全てがresonantパターンとなることが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウィルス感染症の影響により、本年度も国内外の他研究者との共同研究・情報交換が非常に困難な状況であった。そのような環境下であったことと、今年度も継続的に研究成果が得られていることを踏まえると、本研究は順調に進捗していると言える。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルスに関する国内状況の見通しは明るくなってきており、来年度は他研究者との活発な交流が行えることが期待できる。その中で、今年度得られた成果を次年度に結実させられるよう注力していく。具体的には、(4,6)-フラーレングラフにおいて今年度得られた性質をフラーレングラフにおいて示すことを目標とする。その際、奇閉路の扱いが困難さを生むが、それをどのようにすれば解消できるかを多角的な観点から考察していく。

次年度使用額が生じた理由

本年度も新型コロナウィルス感染症の影響があり、国内外の学会への対面での参加・他研究者との対面での共同研究が行えず、そのため次年度使用額が発生した。新型コロナウィルスに関する国内状況の見通しは明るくなってきており、今後は積極的に学会参加・共同研究を行える予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Induced Nets and Hamiltonicity of Claw-Free Graphs2021

    • 著者名/発表者名
      S.Chiba, J.Fujisawa
    • 雑誌名

      Graphs and Combinatorics

      巻: 37 ページ: 663-690

    • DOI

      10.1007/s00373-020-02265-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distance Matching Extension in Cubic Bipartite Graphs2021

    • 著者名/発表者名
      R.E.L.Aldred, J.Fujisawa, A.Saito
    • 雑誌名

      Graphs and Combinatorics

      巻: 37 ページ: 1793-1806

    • DOI

      10.1007/s00373-021-02295-9

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 閉曲面上のグラフにおける距離が離れたマッチングの拡張問題とその一般化2021

    • 著者名/発表者名
      R.E.L. Aldred, 藤沢 潤
    • 学会等名
      日本数学会 2021年度秋季総合分科会
  • [学会発表] 閉曲面上のグラフにおける部分グラフの除去と完全マッチングの存在について2021

    • 著者名/発表者名
      藤沢 潤
    • 学会等名
      第33回位相幾何学的グラフ理論研究集会

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公開日: 2022-12-28  

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