研究課題/領域番号 |
20K03725
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
池田 宏一郎 法政大学, 経営学部, 教授 (60332029)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | モデル理論 / 安定性理論 / ジェネリック構造 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,モデル理論の未解決予想であるLachlan予想の解決に近づくことにある.研究代表者は,解決に近づくための道具として,ジェネリック構成法と呼ばれる手法が重要であると考える.ジェネリック構成法とは,有限構造を貼り合わせて無限構造を作る方法であり,Hrushovskiはこの方法を用いて,真に安定な可算範疇的構造を作った.研究代表者は,Hrushovskiの方法は簡略化できると考え,その結果を,2023年12月に京都大学数理解析研究所で開催されたRIMS共同研究「モデル理論における独立概念と次元の研究」において発表した.発表内容は論文としてまとめられ,RIMS講究録に掲載予定である. その後,この方向の研究はさらに進み,有限構造の集合で生成されるクラス,という考え方に発展した.ジェネリック構造は有限構造のクラスKを貼り合わせて作るが,さらにそのKが生成集合をもつ場合を考える.このアイデアにより,Hrushovskiの構成法を単に簡略化するだけでなく,あらたな無限構造を構成できる可能性がでてきた.この結果は,2024年3月に大阪公立大学で開催された日本数学会年会で発表された.一方,有限構造の様々な性質を調べる分野として有限モデル理論がある.この分野の話題で特に0-1法則はジェネリック構成法と深く関係している.そこで,有限変数無限論理の0-1法則について調べ,得られた結果を2024年3月に高知工科大学で開催されたModel Theory Workshop 2024で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は,ジェネリック構成法を用いて,Lachlan予想の解決に近づくことであるが,コロナ禍の影響があり,研究集会における研究打合せなどが予定通り行うことができなかった.よって,2023年度に予定していた,新たな構成法の有効性とその検証,を行うことができなかった.実際,昨年度は,予定していた海外研究集会の参加は一度もできず,国内研究集会に参加できたのは2023年12月からであった.オンラインを用いた研究打合せも数回試みたが,思うような成果を出すことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響により本研究の期間延長は2度の及んだが,オンラインで研究集会に参加することにより,研究は少しずつであるが進んでいる.実際,有限構造の集合から生成されるクラスKからジェネリック構造を作る,というアイデアは,Lachlan予想の解決につながるのではと考える.その目標に近づくには,国内外のモデル理論研究者の客観的視点が必要となる.よって今年度は国内外の研究集会に対面で積極的に参加し,研究打合せを行い,この分野の研究者の意見を多く取り入れたい.そしてそのための研究環境(PC,タブレット,書籍,など)を整えたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に予定していた国内外の研究集会参加であるが,コロナ禍の影響でほとんど参加することができなかった.それに伴い研究の遅れが生じ,研究環境の整備(PC機器,書籍など)も遅れた.本年度は得られた成果を発表するために,海外研究集会参加を1回,国内研究集会を2回予定しており,同時に国内外の研究者と研究打合せを行いたい.さらに研究を進めるうえで必要な研究環境も整えたい.
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