研究実績の概要 |
① 星型正多面体の表面を連続的に平坦化する問題に取り組んだ。星型正多面体は凹凸が複雑に入り組んだ多面体であるため,共著論文(Abel et al. 2021)による方法では通常の意味での折りたたみは得られていない。これを解決し,論文は折り紙関係の国際カンファレンス8osme(2024,メルボルン)のProceedingsに掲載決定済である。 ② 多面体の表面を連続的に平坦化するとき,剛性な辺の本数や面の個数を最大にすることは折りたたみ式製品開発上重要である。プリズムについての論文は8osme(2024,メルボルン)のProceedingsに掲載決定済であり,正多面体についての論文は専門誌に投稿済みである(松原和樹氏との共同研究)。 ③ 4次元正多面体の表面(3次元多面体のファセットからなる集合)を一つのファセット上へ連続的に折りたたむ問題について,「ひし形の翼折り」を「優先順位付き2つ折り」という別の見方をすることによって高次元へと拡張した。この方法を用いて超立方体と五胞体について(折り目が入らない)剛性部分を従来の結果(共著論文(Abel et al. 2014)より大幅に増大させることができた。超立方体については専門誌に改訂版を投稿済みであり,正五胞体の結果はルーマニアの数学専門誌に掲載(2024)された。 ④ 研究期間全体を通じて当初の目標をほぼ達成できた。3次元の一般的な多面体の表面の連続的平坦化については非常に複雑な凹凸のある多面体を除いて解決した。また,応用上重要な剛性な面数(あるいは辺数)についてこれを最大にする問題にも取り組み,正多面体に関する正確な値や範囲を求めた。さらに,高次元の正多面体の連続的平坦化について,2次元スケルトンの平坦化問題とファセット集合からなる表面の1つのファセット上への折りたたみ問題に取り組み,複数の論文にまとめ専門誌に発表した。
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