研究課題/領域番号 |
20K03727
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
町出 智也 国立情報学研究所, ビッグデータ数理国際研究センター, 特任研究員 (60614526)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多重ゼータ値 / Boolean多項式 / ガウスの消去法 / 充足可能性問題 / 彩色問題 / Alon-Tarsi多項式 |
研究実績の概要 |
2022年度は、前年度の多重ゼータ値の行列のランク計算の結果をまとめた。具体的には研究集会や小規模なセミナーで計算結果を発表して改善点を得た後、論文にまとめて投稿した。結果をまとめるにあたり、ダブルシャッフル関係式の二つの部分集合においても追加実験をした。一つはMinh-Jacob-Petitot-Oussous氏等により提案された部分集合で有限ダブルシャッフル関係式とHoffman関係式の合併である。もう一つは野呂-金子-鶴巻氏による部分集合で上述のものを制限して得られる。つまり後者は前者の部分集合となる。両方とも有利係数上で実験し次元予想を担保することに成功していたが、2元体上ではどのようになるか不明であった。なお前年度の実験で2元体上でもダブルシャッフル関係式が次元予想を担保することは既にわかっていた。次元予想はフィボナッチ数列のような性質を満たすことが知られている。 追加の実験の結果、両者とも次元予想を担保しないことがわかった。しかしMinh氏等の関係式の集合のランク計算ではフィボナッチ数列に近い性質があることがわかった。これは2元体上のダブルシャッフル関係には有理数体上の場合と異なった(不可思議な)性質があることを示唆している。なお野呂氏等の関係式の集合のランクに法則性があるかどうかは発見できていない。 本研究では自然言語処理と充足可能性問題の計算機科学の技術が応用されている。それに関連して、以前投稿していた自然言語処理の論文が今年度受理された。またBoolean多項式の連立方程式の公式を使ったアルゴリズムの研究とAlon-Taris多項式との関連の研究も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多重ゼータ値の論文の執筆を終えて一区切りがついたのでおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は残りの「Boolean多項式の連立方程式の公式」と「彩色問題のAlon-Taris多項式」に関連する結果をまとめて論文にして投稿する。専門外の分野の知識が必要になり難航することが予想されるが、以前の論文を二つに分けて受理されやすいように工夫してまとめる。勤務先が変わり研究の時間がどれくらい取れるかわからないが、その結果を研究集会等で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスにより集会などに行く機会が減り計画に遅延が生じたため、次年度使用額が生じた。
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