研究課題/領域番号 |
20K03728
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
松浦 勉 群馬大学, 数理データ科学教育研究センター, 教授 (80181692)
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研究分担者 |
齋藤 三郎 群馬大学, その他部局等, 名誉教授 (10110397)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 再生核理論 / 逆問題 / 画像解析 / 計算アルゴリズム / 医用画像 / ニューラルネットワーク / 機械学習 / ゼロ除算 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,これまで我々の開発してきた再生核理論の(主に逆問題への)応用手法を医理工分野や産業分野の具体的問題に適用して,効率的な解法アルゴリズムを開発することである. 本研究課題においては,具体的な問題として,(a) 糸球体細胞画像からの病期判別方法の開発,(b) 少量放射線による断面情報からの高精度画像再構成手法の開発,(c) 採取シイタケ品質の詳細判別方法の開発の3つの問題を扱う予定であった.しかし,(a),(b)に関してはコロナ禍のため十分な医療データが得られず研究が進まなかった.(c)に関しては指導学生の修士論文としてその成果が得られたが,論文出版には至っていない.しかし,博士論文指導のもとで,深層学習のGANを用いた糸球体細胞の判別に関する論文を出版できたことは収穫であった. 理論的・数理的研究としては,再生核理論と逆問題,再生核理論と確率解析との関係,再生核理論とゼロ除算との関係,ゼロ除算とリーマン・ゼータ関数との関係などを解明して,いくつかの論文を公表できたことは大きな収穫と考えている.学会発表も(ほとんどリモートによる学会ではあったが)9件(うち招待講演2件,国際会議2件)行うことができ,我々の理論とその応用に関して学会の理解も広がり,深まってきていると考える. 出版に関しては,Scientific Research Publishing, Inc.より,INTRODUCTION TO THE DIVISION BY ZERO CALCULUS(200ページ)を発刊することができた.この書籍が今後のゼロ除算研究の基本書となり,この分野の研究者参入のきっかけになることを期待している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はコロナ禍のため(被験者である学生が登校していないので)十分な医学データが採取できず,医学分野への応用研究は予定したようには進まなかったが,深層学習に関してはGANを用いた細胞形状の分類に関する論文を出版することができた. 理論的・数理的研究に関しては,再生核理論とゼロ除算に関するものを含む論文を5編,学会発表を9件(うち招待講演が2件,国際会議が2件)となり,順調に進んでいると言える.また,ゼロ除算に関してその意味と効用を啓蒙するために,かねてから構想していたINTRODUCTION TO THE DIVISION BY ZERO CALCULUSを出版することができた.全体としては理論・数理的な研究は順調であったが,具体的な問題への応用面では予定どおりには進めることができなかったため,「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍のため2020年度は群馬大学医学部,東京都立大学からの医療データの提供が得られなかった.今年度は(特に後期に)医療データが得られる予定である.これらを用いて我々のアルゴリズムの問題点の洗い出し,有効性の検証などを行いたい.また,開発したプログラムを医学部に提供し,現実データでの使用感,希望などを聞き,それらをプログラムに反映させて,より使い勝手の良いものに仕上げていきたい. 理論的・数理的研究としては我々の再生核理論の広範な応用可能性をさらに追及して,その研究成果を積極的に発信したい.特に2020年度に行ったように,電子ジャーナル上に迅速に公表することによって,この分野の啓蒙に努めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により,海外への学会出張,国内出張などがなくなったため,旅費に要する支出がなかった.今年度の後半に(コロナ禍が収束すれば)昨年度参加ができなかった国際学会に積極的に参加したいと考えている.
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