生命システムが示す未知の環境変化に対する適応性を実現するシステムを構築するためには,システム-環境間の入出力関係が自発的に決定される仕組みを理解する必要がある。本研究では,生命システムの情報処理器官の入出力関係がシステム内部状態によって決定される事に着想を得て,システム内部変数のみの記述によりシステム-環境間の入出力関係を決定するアルゴリズムを提案する。 這行運動モデルに含まれるパラメーターを環境に応じて自動的に調整する数理モデルを作成した。這行運動においては,体の伸縮と接地それぞれに関わる時間周期振動の位相差が重要であることが知られている。そこで,それらの位相差を制御する集団振動子群モデルを作成し,そのモデルに含まれるパラメーターを淘汰アルゴリズムによって進化的に変化させることで,環境変化に応じて自動的にパラメーターを制御する数理モデルを作成した。 今年度は,環境適応的なロボット制御モデルの作成を目標に,初期姿勢から目標姿勢までに至るまでの関節位置の時間変化を求めるアルゴリズムを提案した。人の歩行や走行などの動作に対して複数の演技モーションが含まれる3Dモーションデータセットを用いて演技モーションを分類する機械を作成するために,インフォマップ法を用いて演技モーションの時系列を表現する階層ネットワークを構築した。また,階層ネットワークに対して,代表者が提案した経路探索モデルを適用することにより,初期姿勢から目標姿勢に至るまでの実現可能な姿勢変化を探索するモデルを作成した。
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