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2020 年度 実施状況報告書

球面デザイン,およびその近似デザインの構成法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03736
研究機関愛知県立大学

研究代表者

平尾 将剛  愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90624073)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード球面デザイン / cubature公式 / コーナーベクトル法 / 行列式点過程 / 球面アンサンブル / 調和アンサンブル / ジッタードサンプリング / 組合せデザイン
研究実績の概要

Hirao et al.(2014) および Sawa-Hirao(2017) において球上の最適実験計画法を構成する際に提案した有限既約鏡映群の軌道を用いた球面デザインの構成法(コーナーベクトル法)を拡張した.従来法においては,B型群,もしくはD型群のみに着目し,その群軌道から球面デザインが構成するための代数方程式を与えることに留まっていたが,両者を同時に扱う枠組みとして,ハイブリッド・コーナーベクトル法を提案した.さらにハイブリッド・コーナーベクトル法においても構成される球面デザインの点数はそのままでは巨大なものとなるため,Victor(2004), Kuperberg(2005)の流れを組む,組み合わせ構造を用いた点数削減法をこの方法に対して整備した.これにより,既存の実験計画法で使われている種々のデザインをこの枠組みで再定式化,および,既知の構成点数(Shatalov table)より少ない点数において構成可能な球面デザインを発見するに至っている.
また,本研究において球面デザインの「近似構造」を見つける際に重要となるだろう球面上の確率点過程として行列式点過程,特に(i)球面アンサンブル,(ii)調和アンサンブル,(iii)ジッタードサンプリングに着目し,これまでの継続研究であった (p)-フレーム・ポテンシャルのさらなる計算,および評価を完成させた.特に球面アンサンブルに対しては,p-フレームポテンシャルの具体的な表現を与えることに成功,調和アンサンブルにおいては漸近評価を与えている.これらにより,点数が多い場合は球面上のポアソン点過程より,行列式点過程の方がfinite unit norm tight framesに近い構造であると結論付けることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度においてUniversity of New South Wales (Australia, Sydney) のJosef Dick教授のもとに研究滞在する計画を立てていたが,コロナ禍の影響で延期せざるを得なかった.これにより,本研究課題に係る一部の研究課題が進んでいない状況にある.
しかしながら,「研究実績の概要」に述べたように従来研究の流れを汲む研究ではあるが,球面デザインの構成法,およびその準備のための研究に対して着実に進展を得ている.また,「近似デザイン」を研究するための離散構造上における行列式点過程に対する準備も進んでいる.
これらを総合的に判断し,現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているとした.

今後の研究の推進方策

コーナーベクトル法などの従来法を用いた球面デザインを応用上用いるには,組合せデザイン,直交配列などの組合せ構造を用いて点数を削減する必要がる.しかしながら,組合せデザイン,直交配列の存在性はパラメータに大きく依存し,未解決な部分が多く残されている.
そこでこれら組合せ構造自体の近似構造を確率的に構成して点数削減に用いることができないかを段階的に調査する.特にHamming spaceなどのpolynomial metric space上のデザインの近似構造を(行列式点過程などの)確率点過程から生成できるのではないかと計算を進めている状況である.また近年,Phoaらにより一般化された直交配列(直交配列の近似構造) を導入することにより,統計的実験計画法で多大な成果を得ていることから,確率的生成法だけでなく代数的構成法も段階的に調査する必要があると考えている.
近年の梶浦らの有限群上,アソシエーションスキーム上の準モンテカルロ法の研究が進められており,そこでの知見を援用できるのではないかと考えている.
今後も計算機実験を援用することにより,まずは古典的デザインの近似構造とは何か,確率的手法からそれを得ることができるのかを調査することから調査を広げていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

2020年度においてUniversity of New South Wales (Australia, Sydney) のJosef Dick教授のもとに研究滞在する計画を立てていたが,コロナ禍の影響で延期せざるを得なかった.2021年度においてコロナ禍の影響がなくなり次第,改めて同氏の下に研究滞在することを計画している.また,もしコロナ禍の影響が収まらない場合はさらなる数値実験に必要となる計算機を購入し,今後の研究に役立てる予定を立てている.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Geometric Designs and Rotatable Designs I2021

    • 著者名/発表者名
      Sawa Masanori、Hirao Masatake、Ito Kanami
    • 雑誌名

      Graphs and Combinatorics

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00373-021-02274-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Finite frames, frame potentials and determinantal point processes on the sphere2021

    • 著者名/発表者名
      Hirao Masatake
    • 雑誌名

      Statistics & Probability Letters

      巻: 176 ページ: 109129~109129

    • DOI

      10.1016/j.spl.2021.109129

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On $p$-frame potentials of determinantal point processes on the sphere2021

    • 著者名/発表者名
      Hirao Masatake
    • 雑誌名

      JSIAM Letters

      巻: 13 ページ: 21~24

    • DOI

      10.14495/jsiaml.13.21

    • 査読あり
  • [学会発表] Hybrid corner vector methods for constructing weighted spherical designs and its application2020

    • 著者名/発表者名
      平尾 将剛
    • 学会等名
      JCCA-2020(離散数学とその応用研究集会2020・スペクトラルグラフ理論および周辺領域 第9回研究集会 共催)
  • [学会発表] On p-frame potentials of determinantal point processes on the sphere2020

    • 著者名/発表者名
      平尾 将剛
    • 学会等名
      日本応用数理学会 2020年度 年会

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公開日: 2021-12-27  

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