研究実績の概要 |
1. 前年度から引き続き,面デザインを一般化した概念である「調和指数デザイン」の観点からD4格子のシェルの研究を行なった.D4型ルートシステム(正24胞体の頂点配置)は,一意的なtight antipodal {10, 4, 2}-design on S^3であることを示し,このことからD4ルート系の直交変換によるD4格子のシェルの分解,および, 素数 p> 5, p+1 ≠ 0 (mod 5)に対して,D4型ルート格子の2pシェルは6-designとならないこと(Lehmer予想の類似)を論文としてまとめた.この結果は国際会議で 1件,日本数学会で 1件での口頭発表を行い,また,Research in Number Theoryに採録されている.さらに後続研究として今回の正24胞体の頂点配置, D4型ルートシステムとその双対からなる48点配置,正600胞体の頂点配置を有限四元数群から捉え直し,線形計画限界などいくつかの結果を得ている.これらに関して,今後,学会発表および,論文としてまとめるため,現在準備を行なっている段階である. 2. 前年度から引き続き, Hirao et al.(2014)など扱ったB型の有限既約鏡映群のコーナーベクトル,および,その内分点集合を用いた球面上の重み付きデザインに対する「強さ」の上界に対する考察を共同研究により行った. ヒルベルト恒等式やYuan Xuによる単体上のcubature公式へ帰着させる方法に加え,新たに「係数比比較法」を導入することにより, aを1ではない正の実数であるとしたとき,コーナーベクトル および,(a, 1,..,1 ,0, ..., 0)型のベクトル複数個のB型群軌道から得られるデザインの強さの限界は,3次元以上の超球面においては15以下であることなどを示すことを成功した.本研究は日本数学会での口頭発表2件を含む3回の口頭発表を行った.また,現在論文としてまとめあげる準備を行なっている段階である.
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