入れ子型期待値と呼ばれる量がパラメータに依存する状況において、その量を最大値あるいは最小化するという問題に取り組んだ。このような問題設定はベイズ実験計画法だけでなく、機械学習を含む多様な科学技術分野に現れる。本研究は、特に目的関数(入れ子型期待値)の勾配に対する不偏推定量を構成することによって、確率的勾配降下法の適用範囲を拡大することを目標に取り組んだ。具体的な成果としては、マルチレベルモンテカルロ法と呼ばれる方法を適切に乱択化することによって、勾配の(有限な分散を持つ)不偏推定量を構成できることを理論的に示し、数値実験を通じて応用上における有効性を明らかにした。
|