研究実績の概要 |
1995年にSugamaとHortonは簡約化MHD方程式から3変数常微分方程式を導出して、プラズマが乱流状態にあるとき(L-mode)から帯状流が支配的なとき(H-mode)への相転移現象が説明可能であることを明らかにしたが、そのモデル方程式をSugama-Hortonモデルと呼ぶ。Sugama-Hortonモデルに対して、乱流エネルギーkの式の散逸係数が定数かつ、外力qが定数と仮定した場合を考え、時間大域解の存在、解の正値性を示した。また、qが小さいとき、L-modeの定常解(すなわち帯状流エネルギーf=0)が大域的に漸近安定であることを示した。この研究成果をまとめた論文はJournal of Mathematical Physicsに掲載された。
当初の研究計画では、q=q(t)が周期関数である場合を考える予定であったが、Sugama-Hortonモデルの導出元になった簡約化MHD方程式と比較的近い構造をした非線形偏微分方程式を用いて、磁力線のつなぎかえをシミュレーションによって再現した研究成果があることを発見した。磁力線のつなぎかえが生じるとプラズマは乱流状態になるため、本研究の研究目的に沿った研究課題である。その研究の源流となった論文はH.R.Strauss, Nonlinear, three-dimensional magneto-hydrodynamics of noncircular tokamak, Phys. Fluids 19 (1976) 134.であるが、状況設定に若干の違いがあるため、モデル方程式は一部異なる形をしている。そのような簡約化MHD方程式に対して、周期境界条件の下で時間局所解が一意に存在することを証明した。得られた研究成果を論文にまとめて近日投稿する予定である。
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