研究課題/領域番号 |
20K03749
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
西 遼佑 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (10727093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 渋滞吸収運転 / 複数車線 / ムービング・ボトルネック / MGD Algorithm / サグ部 |
研究実績の概要 |
研究実施計画(i)「様々な複数車線系における渋滞吸収運転アルゴリズム」の一研究として,ランデブー型のmulti-lane green-driving (MGD) algorithmの構築に取り組んだ.MGD algorithmは,車線数よりも少ない台数の車が横一列に並走しつつ低速走行することで複数車線道路上の交通渋滞を除去する運転方法として知られている.MGD algorithmの問題点の一つとして,それらの車が初期状態で横一列に並んでいるとは限らないことが挙げられる.そこで,横一列に並んでいない初期状態から開始しても,その後,横一列の並走状態に至り,最終的に渋滞を除去するようなランデブー型のMGD Algorithmの構築に取り組んだ.現在,本方法の構築を進めている段階である. また,ムービング・ボトルネックと呼ばれる低速走行車が複数車線道路の交通流を改善する効果について検討した.系としては,二車線のうちの片方の車線にのみ通過できない区間(固定ボトルネック)があるような二車線道路系を取り扱った.固定ボトルネックのある車線上の車は,固定ボトルネック上流でもう片方の車線に移動することが必要となる.そこで,車の振る舞いとして,固定ボトルネック手前において,固定ボトルネックのある車線上の車の車線変更挙動がもう片方の車線上の車から譲られるように設定した.このような車線変更が譲られる状況下において,ムービング・ボトルネックが交通流に及ぼす影響について検討した.現在,燃料消費量や衝突リスクなどの観点から数値シミュレーションによる分析を進めている段階である. また,ボトルネックを持つ複数車線系における渋滞吸収運転の研究を目指す上での第一歩として,サグ部を持つ単車線系における渋滞吸収運転のシステムサイズ依存性を数値シミュレーションで明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に遂行した研究実施計画(iii)「渋滞吸収運転による二次的な渋滞の抑制」に続いて,今年度は研究実施計画(i)「様々な複数車線系における渋滞吸収運転アルゴリズム」の一研究として,ランデブー型のMGD Algorithmの研究を進めることができた.なお,当初の研究実施計画では,渋滞を除去する車の前方への後続車の進入防止を計画したが,進入を許容する場合も取り扱う方針とした.また,渋滞吸収運転の周辺研究として,複数車線系におけるムービング・ボトルネックの研究をさらに進めることができた.また,ボトルネックを持つ複数車線系における渋滞吸収運転の研究への第一歩として,サグ部を持つ単車線系における渋滞吸収運転の研究を遂行することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,現在取り組んでいるランデブー型のMGD Algorithmの構築を成し遂げたい.その後,研究実施計画(iii)「渋滞吸収運転による二次的な渋滞の抑制」の一研究として,ランデブー型のMGD Algorithmにおける二次的な渋滞の抑制を理論的に評価したい.また,研究実施計画(ii)「数理モデルのパラメーターが渋滞吸収運転の評価指標に及ぼす影響」に取り組みたい.ただし,研究実施計画(ii)は,渋滞吸収運転に限定せずに,ムービング・ボトルネックなどの周辺研究に広げて実施する可能性がある.また,現在取り組んでいる「固定ボトルネック手前で車線変更が譲られる場合にムービング・ボトルネックが交通流に及ぼす影響」に関する研究を遂行したい.また,ボトルネックを持つ複数車線系についても研究実施計画(i)「様々な複数車線系における渋滞吸収運転アルゴリズム」に取り組みたい.上記の研究トピックのうちで優先度が高いと判断したものから順に遂行したい.
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