研究実績の概要 |
2022年度は2つのテーマで研究を行った。具体的には、「(i)球面上の回帰モデルに関する研究」と「(ii)トーラス上の確率分布および関連した回帰モデルの研究」を行った。以下、それぞれの研究について説明する。
はじめに、「(i)球面上の回帰モデルに関する研究」を説明する。この研究では、被説明変数がp次元単位球面、説明変数がq次元単位球面に値をとる回帰モデルを提案した。回帰曲線は、立体射影・尺度変換・立体射影の逆写像から成る合成変換として定義され、次元の異なる2つの単位球面間の写像となっている。また、誤差分布としては、球面上の確率分布であるscaled von Mises-Fisher分布(Scealy and Wood, 2019)を仮定した。この回帰モデルの性質を調べ、回帰曲線が陽に表されることや、それぞれのパラメータの解釈が容易であることを明らかにした。また、回帰曲線は、説明変数をそれぞれの座標軸についてrescaleすることが可能な柔軟な変換となっている。さらに、回帰曲線は、特別な場合として、球面上のよく知られて変換であるメビウス変換(Downs and Mardia, 2002; Kato and McCullagh, 2020)および回転を特別な場合として含むことも明らかにした。
2つめの研究テーマとして、「(ii)トーラス上の確率分布および関連した回帰モデルの研究」を行った。この研究では、2021年度に提案した3次元トーラス上の確率分布および関連した回帰モデルを拡張し、一般次元トーラス上の確率分布および関連した回帰モデルを与えた。そして、拡張された確率分布が、トーラス上のコピュラとなることを明らかにした。また、1つを除くすべての変数を与えたときの1変量条件付き分布は円周上のコーシー分布となり、関連した円周上の回帰モデルが導くことが可能であることを明らかにした。
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